じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 2012年版・岡山大学構内の紅葉(18)月齢20.0の月とモミジ

 12月4日は暗くなってから雨が降り始め深夜までに4.0ミリの合計雨量を記録したが、その後よく晴れ、明け方には月齢20.0の月や、マイナス2.8等の木星が明るく輝いていた。写真は一般教育棟内のモミジと月。フラッシュ撮影であるが、月が明るすぎてぼやけてしまった。

※岡大構内の紅葉のアルバムを以下に掲載しています。散策の参考になさっていただければ幸いです。(スライドショーまたは、個別の写真の拡大表示にてご覧ください。)


12月3日(月)

【思ったこと】
_c1203(月)笹子トンネルの天井板崩落の原因をめぐる疑問

 各種報道によれば、8月2日午前8時5分頃、山梨県大月市と甲州市にまたがる中央自動車道上り線の笹子トンネル(全長約4・7キロ・メートル)内で、コンクリート製の天井板が崩落した。12月5日朝の時点での事故の概要は以下の通り。
  • 上り線トンネルの大月市側出口から約1700m付近で崩落事故が発生。
  • 厚さ8センチほどのコンクリート製の天井の板が130メートルに渡って崩れ落ちたもので、車3台が下敷きになり、9人が死亡、2人が重軽傷を負った。
 直近のNHKオンラインニュース(12月4日 4時8分)はこの事故について、
【前略】 中央自動車道を管理する中日本高速道路は、天井板をつり下げていた「つり金具」をトンネル本体の壁に固定するボルトが抜け落ちていて、ボルトやその周辺部分の老朽化が事故につながった可能性が高いとしています。
このボルトは昭和52年に天井板の工事を終えて以降、これまでに交換したり補修したりした記録はなく、ボルトで固定しているトンネルの上部の壁については、これまでの点検では目視にとどめていたということです。
警察は4日にも「中日本高速道路」の名古屋市の本社などを業務上過失致死傷の疑いで捜索することにしていて、安全管理や点検状況に問題がなかったか捜査を進める方針です。
と報じており、さらに12月4日 4時23分発信記事では、“打音検査で問題発見できた可能性”という見出しで、
山梨県の中央自動車道のトンネルで、コンクリート製の天井の板が崩れ落ちて9人が死亡した事故で、中日本高速道路は3日夜の会見で、天井板をつる金具をトンネル上部に固定するボルト周辺の点検について、「目視だけでなく、金づちでたたいて音を確かめる点検をすれば、問題を発見できた可能性は上がった」と述べました。
この事故は2日、山梨県の中央自動車道上り線の笹子トンネルで、コンクリート製の天井の板が130メートルに渡って崩れ落ちたもので、車3台が下敷きになり、9人が死亡しました。 中央自動車道を管理する中日本高速道路は3日夜、名古屋市の本社で会見し、この中で天井板をつる金具をトンネル上部の壁に固定するボルトが抜け落ちていたことから、ボルトそのものや周辺のコンクリート、それに接着剤などが劣化し、事故につながった可能性が高いという認識を示しました。
そのうえで会社側はボルト周辺の点検について、「高い場所であり、目視による点検が要領を逸脱したものではないが、目視だけで済ませずに、金づちでたたいて音を確かめる点検をすれば、問題を発見できた可能性は上がった」と述べました。 【後略】
 このほか、民放を含む各種番組では、トンネル工事や防災の専門家をお招きして、天井板崩落の原因についてあれこれと解説がなされているようである。

 こうした一連の経緯については、まず、「専門家」諸氏のあとづけの「解説」(←事故が起こったあとで、その結果に合わせるような形で都合のよい理由を並べ立てること)に少々憤りを感じた。「経年変化によってボルト、コンクリート、接着剤等が腐蝕・劣化した」とか、「換気ダクト」の風圧や振動の影響、あるいは、東日本大震災及びその翌日に発生した長野県北部地震の影響など、いずれも「分かりやすい」説明だとは思うが、そんなことが分かっているなら、なんでもっと早く、事故が起こる前に警告しなかったのだ!と言いたくなる。

 それから、単に、経年変化だけが原因であるとすると、トンネルのごく一部、130メートルにわたる区間だけで連続して崩落が起こったことは説明できない。今後の事故防止に役立てるには、単に、打音検査を徹底するというだけではダメで、
  • なぜ、130メートルの区間だけ崩落が起こったのか?
  • なぜ、それ以外の場所では崩落が起こらず、その後の打音検査でも異状が無いのか?
ということをちゃんと説明できなければならない。このことに関しては、アンテナ経由で愛読している和田秀樹氏のブログ(12月2日付け)で
今後の捜査に入らないとわからないが、おそらく、あのコンクリートの割れ方や、130メートルだけ落ちたということを考えると、この130メートルの区間は同じ業者が下請けか、孫請けをしていて、その区間の天井のコンクリートはいわゆるシャブコン(水で薄めたコンクリート)を使っていたのだろう。
という指摘があった。ま、手抜き工事かどうかは別としても、その区間だけ、質の違うコンクリートを使っていたとか、ボルトを固定する接着剤の量や質が異なっていた可能性はあり、十分に精査する必要があるとは思う。

 また、それ以外にも、その区間だけ「換気ダクト」の風圧や振動を受けやすかった可能性、あるいは、地震や岩盤のゆがみなどがその区間にかかっていた可能性なども分析する必要がある。

 あと、素人目に見て疑問に思うことがもう1つある。今回の報道を伝え聞いた限りでは、劣化したとされるボルトというのは、要するに、トンネル本体にドリルで穴を開けて鉄の棒をねじり込んで接着剤で固定されただけのように見える。そんな接着剤でくっつけただけのもので、横5m、奥行1.2m、厚さ約8cmと9cm、重さ約1.2tほどもあるコンクリート板を吊り下げれば、劣化や大地震で崩落するのは素人目にも予想がつく。いくらトンネル本体が丈夫にできていても、これではたまったものではない。

 少なくとも、ボルトが抜けても、中央のコンクリート板のつなぎ目がへこんで落ちないよう、2枚を梁のようなもので止めておく必要があるように思えるし、また、1箇所が落下しても将棋倒しのように次々と崩れていかないように、何らかのストッパーを設置しておく必要があるようにも思える。

 今回事故が起こった笹子トンネルは、私も何度も通ったことがある。東京側から西に向かう時は、このトンネルを抜けると甲府盆地が広がり、関東平野から別の世界に入ったという感じがする。逆に、岡山から中央道経由で東京に向かう時は、このトンネルを過ぎればあともう一息、談合坂SAで休憩をとろうかという通過点としてホットするところでもあった。