じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 岡山大学祭会場に輝く金星、土星、木星。

 今年の大学祭(11月23日〜25日)は、開催に支障はなかったものの、1日目は小雨、2日目も朝方雨に降られるというあいにくの天気であったが、3日目(11月25日)の早朝はよく晴れ、会場から金星、土星、木星をはっきりと眺めることができた。
  • 写真上:津島東キャンパス入口付近。いちばん明るい星が金星。その左下が土星。なお、金星と土星は11月27日14時13分に0°34′まで接近する。
  • 写真中:大学会館北側。同じく金星と土星が見えている。なお、右上少し離れたところにあるのはスピカと思われる。
  • 写真下:一般教育棟A棟北側。写りは悪いが、右上のほうに木星が見せている。その左下の星はアルデバラン。


11月24日(土)

【思ったこと】
_c1124(土)脳のはたらきからみた幸せのかたち(6)脳は何をしようとしているのか?

 昨日の続き。

 講演では続いて、「脳は何をしようとしているのか?」という話題が取り上げられた。これは、脳が仕事をすることが、個体や種の存続・繁栄にどう役立っているのかということである。主な仕事は2つあり、1つは、骨格筋の仕事を減らすという省エネ機能である。じっさい、動物は餌を採る時にエネルギーをいちばん多く消費するという。頭を使うことで、無駄な行動を減らしたり、失敗や危険のリスクを下げることができる。その分、脳の進化した動物のほうが生き残るチャンスが増えると言えよう。

 そしてもう1つの仕事は、自分の増殖(自分の遺伝子や思想の増殖・支配)であるという。従来より、生物は、自分と同じ遺伝子を増やそうとする、というか、結果として自分と同じ遺伝子を増やそうという傾向を持った生物が殖えていったということは知られているが、もしそれだけであるならば、いちばん進化したはずの人間、それも先進国において、少子化現象が起こっていることは説明できない。また、同じ国にあっても、知識層は、子どもの数が少ないそうである。このパラドックスはどう説明すればよいのか? 知識層は、子どもをつくるという以外の方法で自分の知識を伝えようとしているのではないか、というのが講演者のお考えであった【←あくまで長谷川の聞き取りのため不確か】。確かに、いくら子だくさんに恵まれても、親子間の対立があったり、年老いてからも面倒をみてもらえなくなるというのであれば、自分の増殖という至上命題からみてあまりメリットはない【←これはあくまで遺伝子選択説的な発想からの見方】。それよりも、例えば本を出すとか、今の時代であれば、ネット上で意見を表明して、同調者を増やし、自分の思想を継承・発展さるということのほうが、より確実な方法であるかもしれない。

 さて、それでは、脳はいったい何なのか? 講演者によれば、「脳は相対的価値判断をする臓器」であるという。すなわち、以前に比べて今はどうか?(「今」より「あした」の準備をする)、人と比べて自分はどうか?といった相対比較をすることが、欲求を生み出し、新しい価値を創り出すことにつながるという。この観点から高齢者の問題を見直してみると、高齢者では欲求の中味が変わってくること、それゆえ、単に「欲求を満たす」だけではダメで、むしろ、高齢者向けの【新しい】欲求を創るビジネスが期待されることになる。ま、このあたりの考えは脱世間や解脱の考え方とは相容れないような気もするが、行動分析学的に言えば、「加齢により制約を受けるなかで、行動して結果として強化されるという、新たな行動機会を増やす」という、高齢者の生きがいの基本法則には合致しているようにも思えた。



次回に続く。