じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 岡大西門を入って左手にある花壇で、植えっぱなしのアネモネが次々と開花している。写真の青花のほか、白、赤など各種あり。

3月16日(金)

【思ったこと】
_c0316(金)日本環境心理学会第5回大会「場所愛着・再考」(5)指定討論(1)

 昨日の続き。

 ワークショップの議論で印象に残った点の3番目は、お二人の指定討論者による詳細なコメントであった。

 最初に登壇された方の指定討論では、各話題提供に対する適確なコメントに加えて、御自身の研究内容の一部が紹介された。「地域への愛着」、「地域コミットメント」(「組織コミットメント」との対比)、「地域アイデンティティ」と「地域住民のアイデンティティ」(あるいは「場所アイデンティティ」)との違いなどが分かりやすく説明され、大いに参考になった。地域居住年数と愛着要因との相関についての御研究によれば、高齢者では、「居心地のよさ」、「自己関与」、「違和感のなさ」、「永住志向」などに有意な相関が見られた反面、就業成人では「自己関与」以外は有意の相関は見られない、という興味深い結果が出ていた。

 先の話題提供と合わせて考えるに、地域への愛着というのは、単にそこに住んでいれば自然に形成されるというものではなく、結局は、その人の生活空間、生活上のニーズ、ご近所との関わり、散歩の有無、景観への興味などによって大きく変わってくるのではないかと思う。

 次の2番目の指定討論ではまず、「場所」とは何かという根本問題からの解説が行われた。

 スライド資料によれば、
  • 人間の秩序と自然の秩序との融合体であり、私たちが直接経験する意義深い中心である(レルフ,1991)
  • 生身の人間が物理的・心理的関わりを通じて周辺環境からくくり出す,自己を中心とした相対的に親密な領域(景観用語辞典、1998)
  • 場所とは記憶と結びついた空間(浜,2010)
という引用があった。

 ということで、あくまで思いつき程度であるが、私ならどう定義するのか、考えてみた。
場所とは、個人が、一定期間滞在する比較的安定した環境要因。その人にとっての弁別刺激、オペランダム、強化刺激の総体。但し「場所愛着」として議論する場合は、地理的に同じ空間に滞在している複数の人びとや集団における、共通性や個体差、さらには、その空間がもたらす独自の強化刺激(街をきれいに、郷土の誇り)などが重点的に取り上げられる。


 次回に続く。