じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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§§  受験生を迎えるアネモネ。今年の前期個別学力試験は、開始前に降っていた雨も止み、最低気温4.6℃、最高気温10.3℃という、比較的暖かい試験日となった。

2月25日(土)

【思ったこと】
_c0225(土)「質的研究の来し方と未来:ナラティヴを巡って」&「人生心理学:イメージ画と語り」(6)斎藤氏による話題提供(1)

 昨日の続き。

 シンポの2番目は、斎藤清二氏による、

「ミクロとマクロを結ぶナラティヴ:発達障害支援をフィールドに」

という話題提供であった。

 斎藤氏はまず、初めて研究ポストに就いた時に、同僚から
何か測定するものを見つけて、データが箱いっぱい得られるまで測定し続けなさい。それから測定するのをやめて、論文を書き始めなさい。
と忠告されたことを回想された。では何を測定したらよいのかという疑問が生じるが、同僚は、皮肉っぽい調子で、それはたいした問題じゃない!と答えられたそうである。

 このエピソードがどういう意図で語られたのか、量的研究の実態を批判するためであったのか、質的研究でも同じアプローチが存在することを指摘するためであったのかは、聞き逃してしまった。いずれにせよ、NBMにおいては、ある患者との対話をテクストデータとして採取するというように、臨床現場で体験された現象をデータに変換して採取し、さらにGTA、エスノグラフィー、物語分析などを通じて仮説を生成、そしてその仮説を参照枠として、新たな臨床実践を行うことを通して体験される現象と連続的に比較することによって妥当性を検証するという方法がとられ、その中で仮説は常に継承、改良、発展するものと理解されていくということであった。さらに、Greenhalgh(2006)の引用し、物語を用いた研究アプローチとして、物語面接、自然主義的物語収集、談話分析、事例研究、アクション・リサーチ、メタ物語的系統レビューなどがあることが紹介された。

 話題提供の後半は、御自身のご研究に基づくもので、社会的コミュニケーションに困難をもつ大学生に対して、対面(オフライン)でのサポートに加えて、Web上(オンライン)でのサポートを提供することの特徴と意義、さらに、ナラティヴ・アプローチからみた発達障害大学生支援の実例が紹介された。

次回に続く。