じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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§§  2月20日明け方の月。月齢は27.6。ちなみにこの日の最低気温はマイナス1.9℃。この寒さに耐えながらの早朝の散歩には辛さもあるが、明け方の美しい光景にはそれを上回る感動がある。

2月20日(月)

【思ったこと】
_c0220(月)「質的研究の来し方と未来:ナラティヴを巡って」&「人生心理学:イメージ画と語り」(1)

 2月18日(土)午後に京都大学・百周年時計台記念館国際交流ホールT・Uで開催された、

「多声対話シンポジウム・記念講演」

に参加した。この行事は
  • 多声対話シンポジウム「質的研究の来し方と未来:ナラティヴを巡って」 13時―15時半
    • 企画:やまだようこ(京都大学)
    • 司会:田垣正晋(大阪府立大学)、荘島幸子((独)国立精神・神経医療研究センター)
    • 話題提供
      • 麻生武(奈良女子大学) 「出来事、記憶、ナラティヴ」
      • 斎藤清二(富山大学) 「ミクロとマクロを結ぶナラティヴ:発達障害支援をフィールドに」
      • 徳田治子(高千穂大学) 「証言としてのナラティヴ:語りを受け取り、伝えるということ」
      • 矢守克也(京都大学) 「アクションリサーチとしての質的研究:災害と言葉」
      • (もうお一人は、ご体調不良により欠席された)
  • やまだようこ教授 記念講演(最終講義)「人生心理学:イメージ画と語り」16時―17時
という二部構成となっており、前半の主催は、

科学研究費基盤A「多文化ナラティヴ・フィールドワークによる臨床支援と対話教育法の開発」

後半は、「やまだようこ先生御退官記念事業会」の主催となっていた。

 私が入室した12時45分頃にはすでに会場にはたくさんの人が着席しておられ、また、やまだようこ氏は着物をお召しになって、前列で打ち合わせをしておられた。

 ここでちょっとだけツッコミを入れると、入室時に配布されたチラシでは、右端の「やまだようこ教授退官記念事業」の「退官記念行事」という部分が「退御官記念事業」となっており、休憩時に受付の方に“「御退官」を「退御官」としたのは何か特別の意味があるのですか?”と尋ねたところ、単純な誤植であることが分かり、「御退官」に刷り直したチラシに差し替えとなった。いずれにせよ、国立大学法人化後は、国家公務員を意味する「教官」とか「退官」という呼称は使われなくなり、「教員」あるいは「退職」と呼ぶのが一般的になってきたように思う。

 さて、前半のシンポではまず、やまだようこ氏から、多声対話とはポリフォニー(polyphony)に由来すること、また、今回のシンポでは、質的研究をアクティブに推進してきた研究者をお迎えし、特にナラティブ論を中心にして、(1)質的研究の理論的・方法的特徴を明確にし、(2)質的研究を歴史的に見据えたパースペクティヴ(スライドでは「パースペ久ティブ」と記されていた。上述の「退御官」もそうだが、やまだようこ氏のご発表となると、単純に誤植のように見える表記にも何か特別な意味があるのかと深読みしたくなってしまう)から未来に向ける提案を行う、としたうえで、特に以下の3点を軸とした自由に縦横に討論してみたいとの企画趣旨が述べられた。
  • 「何が質的研究の核心なのか?(理論と方法論)」
  • 「質的研究によって何が変革されたのか?(過去から現在)」
  • 「これからどのような研究をしていくべきか?(未来)」


 もっとも、お一人の発表時間が短かったせいもあり、上記3点については、必ずしも十分には論じられなかったように思えた。また、退官記念行事という性格上、白熱した議論を遠慮されたのだろうか、フロアからの発言も少なく、「ナラティブとfact」の関係についての議論があった程度に終わってしまったような印象を受けた。

次回に続く。