じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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大自然に囲まれた?岡大・自然科学研究棟

 文学部耐震改修工事のため一時的に移転している自然科学研究棟。実際には東西南北いずれも別の建物に囲まれているが、このアングルから眺めると緑の大自然の中にポツンと建っているように見える。後ろは半田山、手前は、座主川と岡大・東西通り沿いの樹木。

10月5日(水)

【思ったこと】
_b1005(水)日本行動分析学会第29回年次大会(19)許可の随伴性・阻止の随伴性・ルール支配行動:青年・成人臨床事例からの再考(15)学生相談場面の事例から(8)

 昨日の続き。紹介された3番目の事例は、授業への欠席が多く、留年が危惧される学生2名への対処であった。まずは学生自身に出席状況について自己記録をとってもらったが、効果は一時的かつ言行不一致があったので、第三者によるモニターやフィードバックを導入し、改善を図ることができたというような内容であった。

 ルール支配との関連としては、出席行動に関するルールは「永続的に、弁別刺激や確立操作として機能し続けなくてもよい。むしろ、ルールを介さずに適切な行動が維持されることが望ましい。」というような結論であった。私自身もこの結論には同感である。大学のFD関係の集まりでも何度か議論したことがあるが、もともと授業に出席するという行動は、学生自身の勉学向上の一貫としてポジティブな好子(新たな知識の獲得、発見、創造...等)によって強化されるべきものであり、それさえ定着すれば、出席率不足になることはあり得ない。但し、学生によっては、明確な志望動機の無いままに大学に入ってくるものもあり、また種々の障壁(学力不足、アルバイト、サークル活動、種々の誘惑、人間関係、カルト宗教...等)によって、出席が困難になることもある。ルール支配、あるいは、今回は取り上げられていないが、付加的な好子の追加による補完的な強化は、そうした初期条件の改善に有効であると言えよう。但し、大学における勉学行動を持続的に強化していくものは、あくまで勉学自体が内包している好子でなければなるまい。

 さて、今回をもって話題提供2件へのメモ・コメント・感想は終わりとさせていただく。

 なお、今回取り上げられたルール支配や阻止の随伴性をめぐる諸問題についての考察は、いずれ、紀要論文などでまとめて論じる予定である。