じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 各種報道によれば、強い台風15号は、21日に静岡県に上陸したあと、関東や東北を通過した。これまでに全国で6人が死亡、9人の行方が分からなくなっているという。

 岡山では県北で広戸風が発生するなどの被害もあったが、他県よりは被害の程度は軽微であった。22日07時までの72時間積算降水量は、106.5ミリ(中国地方県庁所在地で降水量が最も多かったのは徳島県徳島の598.5ミリ)、最大瞬間風速は21日朝に記録した23.4メートルであった。

 写真上は大雨で水浸しになった様子。写真中段は強風で落ちたギンナン。写真下段は、台風一過の美しい夕焼け。

9月21日(水)

【思ったこと】
_b0921(水)日本行動分析学会第29回年次大会(5)許可の随伴性・阻止の随伴性・ルール支配行動:青年・成人臨床事例からの再考(2)阻止の随伴性の諸事例

 昨日の続き。企画者の話題提供の内容についてのコメント・感想をもう少々述べさせていただく。

 まず、昨日も引用させていただいた、
「阻止の随伴性」に関する従来の随伴性ダイアグラムでは、直前条件のところに「やがて○○という変化が起こる」というような時間経過が述べられているが、これでは条件とは言い難いので「ある反応が生じないと/やがて起きる可能性の高い事態の変化を/その反応をすることで/事態の変化を阻止する/その結果、その反応は生じやすくなったり/生じにくくなったりする」というような形で定義してはどうか。
という定義に関するご提案に関してである、私自身は、かつて、阻止の随伴性を「保守」、許可の随伴性(基本随伴性)を「改革」と呼んだことがあった。我々が暮らしている地球上の環境というのは常に安定不変ではなく、時にめまぐるしく変化し、その変化はしばしば個体の生存を危うくすることもある。そこで、ある行動をすることでその変化を止め比較的平穏な現状を保守する結果をもたらすのが阻止の随伴性による強化である。いっぽう、個体にとって必ずしも満足とは言えない環境が続いていた時に、その環境に能動的に(=オペラント)働きかけて環境自体を変化させるというのが許可の随伴性(基本随伴性)ということになる。

 以上の考え方は上記引用内容と大して変わりがない。但し、私自身の提案は、特定の物理的刺激ばかりでなく、変化それ自体、例えば、気温変動、揺れ、不規則性なども好子や嫌子になりうることを示唆するものである。例えば、センサーによりon、offを繰り返すだけの旧型エアコンがあり、仮に24℃まで下がると冷房停止、28℃になると冷房再開という温度変化が繰り返されたとする。私自身のようなエアコンには弱い体質の者にとっては、設定温度が高すぎるか低すぎるかということよりも、そうした温度変化自体のほうが冷房病の原因となる。それに対して、常に±0.5℃の範囲で一定温度を保ち続けるようなインバーター制御のエアコンは快適である。もし室内に、旧式のエアコンとインバーター制御エアコン2台が設置されていたとしたら、私は後者のほうのボタンを押すだろうが、それは単に、暑さを除去するという嫌子消失の強化でなく、温度変化を阻止するという嫌子出現阻止の随伴性によっても強化されているのではないかと思われる。

 次に、企画者は阻止の随伴性についていくつかの事例を挙げられ、その中で複数のタイプがありうることを指摘された。なお【 】内の分類は長谷川が付加したものである。
  1. 【好子消失阻止による強化】自転車にカギをかける
  2. 【嫌子出現阻止による強化】いじめに荷担(誰かのいじめに加わらないと、今度は自分自身が仲間はずれにされていじめられるようになる)
  3. 【好子消失阻止による強化】西の空に黒い雲が現れた時に(生乾きの)洗濯物を取り込まないと、びしょびしょに濡れてしまう。《この場合、黒い雲はCS、雨はUSというパブロフ型の構図になっているのでは?》
  4. 【嫌子出現阻止による強化】勉強しないと母親が怒る《この場合の変化はオペラント。怒る前に母親がイライラしているのは弁別刺激。怒りは嫌子》
  5. 【嫌子出現阻止による強化】女子学生が母親に(定期的に)電話をすると怒られない。電話を怠ると怒られる。《これは、シドマン型回避》
 このうち1.の事例は好子消失阻止の代表例であり、家のドアに鍵をかけて外出する、火災保険に入るなども同様かど思う。3.から5.の分類?についてはよく理解できなかった。但し、回避条件づけについては種々の理論があり、大枠では「嫌子出現阻止の随伴性」に分類できても、実際には別のメカニズムが働いている可能性が高いと私自身は考えている。

次回に続く。