じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 岡大・留学生会館の西側、妙善寺バス停の南側に県公舎(県職員用の宿舎)がたくさん建てられているが、私の観察に間違いが無ければ、北西側の2棟は何年にもわたって全棟空き家状態となっており、全く活用されない状態で放置されている。多少の内装工事をすれば、3月の大震災・原発事故被災者の方々のための避難所としても利用できるように見えるがそういう話は出ていない。県営住宅にも転用されず、次第に廃屋化していくように見える。いまどき勿体ない話だ。

7月27日(水)

【思ったこと】
_b0727(水)2011年版・高齢者の心と行動(40) ダイバージョナルセラピーワーカー・フォーラム2011(3)理事長による基調講演(3)高齢者施設入居者の権利と責任

 昨日の続き。

 オーストラリアでは、1985年にAged Care(←私がオーストラリアで研修を受けた時は「アイジト・カー」という発音のように聞こえた)改革が行われ、介護評価制度(ACAT)や、権利憲章(施設における権利と責任)が定められた。その後1997年には、Aged Cares省(現在は、Health and Ageing省)が創設され、先進的な高齢者対策がとられるようになった。いっとき大学改革の話題の中でも使われた「Accreditation」という言葉を初めて耳にしたのは、「Aged Care Standards and Accreditation」という施設認定監査の用語としてであった。ちなみに平成12年版厚生白書の中にも、「コラム サービスの質の向上に向けた取組み〜オーストラリア」という項目があり、
 オーストラリアでは、政府、非営利法人、営利法人といった多様な主体によって、高齢者介護が担われている。このような多様な主体によるサービスの質を向上させるために、様々な取組みが行われている。このため、介護保険制度が始まり、多様な主体によりサービスが担われる我が国にとっても参考となる点が多い。

 施設サービスに関しては、「入居者の権利と責任についての憲章」において、個人の尊厳を守って適切なケアが提供されるべきこと、プライバシーや自己決定権が尊重されるべきことなどが規定されている。

 個々の施設が守るべき具体的事項としては、「高齢者ケア法」(1997年制定)により、施設の管理体制や介護サービス内容等に関する基準が新たに定められた。最低水準の保障にとどまらず、サービス水準の向上に向けた施設側の自律的な取組みを促す基準となっている点が、特徴的である。2001(平成13)年1月以降、各施設は、高齢者ケア基準認定庁から基準該当の認定を受けることが、政府からの補助を得る条件となる。

 また、個々の入居者の意見をサービスに活かすように、この基準では施設内に苦情処理体制を整えることを定めている。さらに、公的な苦情処理制度が、1997年に創設された。各州に相談窓口が設けられており、各施設には、入居者向けに連絡方法を示すパンフレットが置かれている。相談窓口は、深刻な事例については監督機関に伝達するが、基本的には入居者と施設との話し合いを支援するなど、当事者同士の自律的な調整を重視している。

 在宅サービスについては、各州政府がそれぞれ利用者の権利を定めるなど、その水準の向上に努めている。また、家庭等で介護を担う人々が連帯する協会が各州で設立され、介護者の研修や、公的サービスについての政府への提言などを活発に行っている。

 当事者による活動を尊重したサービスの質の向上以外にも、オーストラリアの高齢者介護については、施設サービスの偏重を是正して在宅サービスの充実を図っている点や、専門家のチームによる在宅サービスのコーディネートの仕組み、専門的な研究成果を活かした痴呆性高齢者の処遇など、注目すべき点も多く、共同研究等を通じた経験の共有を一層進めることが有用である。
という詳細な紹介記事があった。

 ところで、この「高齢者施設入居者の権利と責任」には、日本的な常識では意外とも言えるような項目も含まれている。例えば、
  • 提供者に過度に感謝する必要はない。
  • 自分の受ける介護の決定に参加する権利
  • リスクを受容する権利
  • 自分の情報を提供する権利
などである。念のため、オリジナルのWebサイトでチェックしてみたところ、このあたりにその概要が紹介されている。また、「Aged Care Act 1997 -C2011C00481」の原典はこちらにある。


次回に続く。