じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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2011年版・岡山大学構内でお花見(58)クマツヅラ(バーベイン、Vervain)

 一般教育棟構内の南東端あたりで、ハルシャギクとともに群生している。在来種とされているが、こちらにも記されているように、荒れ地に生えることと、群生の様態からみて、在来の生態系を壊す帰化植物のようにも見える。

7月6日(水)

【思ったこと】
_b0706(水)2011年版・高齢者の心と行動(34) 人付き合いを好まないタイプの生き方(1)

 今回から、人付き合いを好まず、マイペースで老後を過ごすというライフスタイルについて考えていくことにしたい。このテーマは現在私自身が取り組んでいる最中であり、その趣旨は以下のようになっている。
... これまでの研究では、若者と同様、高齢者にあっても、集団に馴染みし他者との交流を行うことが望ましいという暗黙の仮定があった。しかし、若者であれば一般社会に適応するためにソーシャルスキルを身につけることは本人自身のメリットにもなるが、高齢者の場合は、本人が望むのであればむしろ、社会から一定の距離を置き、隠遁生活にふけることのほうが生きがいになる場合もある。その際、どのようなファクターが、隠遁的QOLの向上・維持にプラスになるのかを、心理学的視点から体系的に明らかにしていく...
 その背景としては、
 高齢者の福祉施設においては、人的資源の制約及びセラピー効率性、安全性などの諸事情から、現実に実施されるプログラムの殆どは集団単位となっている。そのため、人付き合いを好まないお年寄りは、どうしても、孤立してしまい、QOLの向上を目ざすことができない傾向にある。そのようなお年寄りに対しては、これまで、とにかく、集団活動への参加を促すことが絶対善であるような暗黙の前提があり、静かに隠遁的生活を楽しむ機会は奪われる傾向にあった。

 本研究では、これまでの発想を根本的に転換し、「人付き合いを好まない」ことをポジティブにとらえ、人付き合いを最小限度にする中で高齢者のQOLを高めるためにはどのような環境づくりが必要であるのかを検討していく。

【中略】

 ...高齢者福祉研究において、何が何でも周囲に適応し、集団的活動になじませようという暗黙の前提を打破し、施設内での遊戯的イベントなどに参加しなくても十分に生きがいを持てるような生活環境を整える条件を明らかに...

 近年、「無縁社会」という言葉に示されるように、独り暮らしのお年寄りの孤立が問題視されているが、だからと言って、幼稚園のお遊戯会のようなイベントばかりで生きがいが得られるわけではない。...【後略】
 「人付き合い」に関しては、6月2日放送の

NHKクローズアップ現代「幸せのモノサシ 〜指標づくりの模索〜

に関連して、6月12日の日記でも取り上げたことがあった。その時も述べたが、「支え」、「親しみ」、「社会との関係性」、「社会から認めてもらうこと」、「相手の喜びを喜ぶ」といった「幸せ観」は、争いを避け、互助・互酬を重視するという点では社会全体を設計する上では望ましい方向ではないかと思われる。 しかし、これはあくまで幸せの1つの形態にすぎない。日本人であるからといって、「支え、親しみ、安心」より、欧米の「誇り、達成感、自己実現」のほうを重視する人も居るであろうし、人付き合いは最小限にして、できる限り自分の時間・空間を大切にしたいという人も少なからず居るはずだ。他者との交流や支え合いの頻度を質問項目に入れた指標などを作ってしまうと、隠遁生活を志向する人は、勝手に不幸者のレッテルを貼られてしまうことになりかねない。 他者との交流を重視する幸せ観は、100人中90人には当てはまるかもしれないが、そのことで残りの10人が異端者として切り捨てられることがあってはならない。私自身は、100人中10人、あるいは100人中たった1人だけの「幸せのモノサシ」を追究していきたいと考えている。


次回に続く。