じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



05月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る
§§
2011年版・岡山大学構内でお花見(33)座主川の新緑とツツジの花

岡大構内を流れる座主川の新緑(写真上)と川沿いのツツジ。ツツジ(ヒラドツツジ)の花は大学構内各所で見られるが、写真上の右岸のように、座主川沿いは樹が茂っていて日当たりが悪く、殆ど花をつけない年もある。写真下は、南側に樹木が無いため、比較的花つきがよい。

5月1日(日)

【思ったこと】
_b0501(日)今回の大地震について思ったこと(28)日本とアメリカの危機管理態勢の違い

 まず、例によってNHKオンラインの見出し項目を掲げておく(5月2日早朝の時点)。
  1. 1号機 原子炉建屋内部で作業へ
  2. 支援の基本方針 取りまとめへ
  3. 復興構想会議 被災地を視察へ
  4. “震災後も国際社会に寄与”
  5. クールビズ 前倒しや期間延長も
  6. 被災地 風の強い状態続く
  7. リビア 大使館襲撃など混乱
このほか、ネットニュースでは、
  • 2号機 昨年6月にも電源喪失
  • 児童6人死亡 8年間で7回事故
  • ソニー 対応や安全性に不信感
といった記事が気になった。

 なお、5月2日朝のモーサテで、「アメリカに学ぶ危機管理態勢」というような話題を取り上げていた。今回の原発事故では、アメリカからの素早い支援活動が注目された。番組によれば(←長谷川の聞き取り・記憶によるため一部不確か)、この全面支援は日本通のウィリアム・ペリー元国防長官、アシュトン・カーター国防次官、スティーブン・チューエネルギー省長官の3人がオバマ大統領に進言したことによって実現したという。日本では今回のような緊急事態になっても平時のボトムアップ、意見調整型を引きずって、トップダウン型の有事対応がなかなかできないのに対して、アメリカではわずか3人の進言でこれが実現したというのだから、やはり見習わなければならない。

 もっとも、日本政府が原発事故に対してトップダウン型の対応をできない背景には、技術者不足ということもあるらしい。その一因は、日本では原子力を平和利用目的に限定していて完全に民間企業任せになっていることにあるとか(←軍事利用目的が無いと、政府高官に技術者を配置できないという意味か)。4月11日の日記でも述べたように、原発事故発生後、原子力安全・保安院の記者会見に登場する幹部は2回も交代し、現在の西山・審議官は、原子力の専門家でも何でもなく、ウィキペディア記載の通り、T大学法学部ご出身で、震災前は環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)加盟に携わっておられた方だという。

 また、4月27日発信のNHKオンラインニュースには、
東京電力の福島第一原子力発電所の事故で、地震が発生した先月11日、政府に専門的な助言を行う原子力安全委員会は専門の調査委員40人に対し、携帯電話のメールで招集したものの、交通機関が止まっていたことなどからほとんど集まらなかったことが分かりました。

これは、27日に開かれた衆議院の決算行政監視委員会で原子力安全委員会の班目春樹委員長が初めて明らかにしたものです。それによりますと、先月11日の地震と津波によって福島第一原発の1号機と2号機で冷却のための電源がすべて使えなくなったという通報を受けて、原子力安全委員会の緊急事態応急対策調査委員40人に対して、携帯電話のメールで招集したということです。しかし、ほとんどの委員は連絡がつかず、連絡がついた委員も交通機関が止まっていたことから、内閣府にある原子力安全委員会に当日集まることができたのは歩いてきた数人だけだったということです。また、国の防災基本計画では、災害時にはこうした調査委員らを現地に派遣することになっていますが、地震の直後には事務局の職員を1人派遣しただけで、実際に派遣したのは、1か月余りたった今月17日でした。【以下省略】
という記事もあった。大地震発生後に携帯メイルが通じにくくなることや交通機関がマヒすることなどは常識的に考えても分かりきっている。ま、ヘリを使って委員全員を参集させたところで、危機対応にどれだけ貢献したのかは定かでは無いが...。

 いっぽう、アメリカの場合は、上掲の米エネルギー省長官・スティーブン・チュー氏はノーベル物理学賞受賞者であるという。同じく上掲のウィリアム・ペリー元国防長官の5世代前の伯父は、黒船を率いて日本に来航したペリー提督であったという。そう言えば、今回、日本にもやってきたCBIRF(Chemical Biological Incident Response Force、シーバーフ)を黒船以来だと言っている人もいる。ちなみにこのシーバーフは、 1995年に発生した地下鉄サリン事件を契機に1996年4月1日、チャールス・C・クラークアメリカ海兵隊総司令官の下に組織され、アメリカ合衆国、メリーランド州インディアンヘッド、インディアンヘッド海軍水上戦センターに所在するという。日本でもこの種の事故やテロに対応する特殊部隊が無いわけではないが、機動力、技術力という点ではかなわない。とにかく、日本国内の事件を契機に組織されたという点がスゴイ。もっとも、今回の支援は純粋に人道的な救援を目的とした活動でなく、実際に起こった事態における情報収集も目的としており、アメリカの自国の利益にもなっているらしい。

 番組ではこのほか、「想定外の事態を考えるとそれだけで不安になるので想定しなかった」、「今が最悪と言っている時には本当の最悪はもっと別のところにある」というようなことが指摘されていたようであったが、長谷川の聞き取り・記憶のため不確か。