じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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§§ 岡大構内駐車有料化(3)農学部農場西門の閉鎖

 今回の有料化に伴い、農学部農場西門からは自動車の出入りができなくなった。写真上はそのことを知らせる看板とポール。少し先に進むと、新たに設置された鉄製の車止めがある(写真下)。これから先は車の往来が無いので、静かに散歩ができるのはありがたい。


3月02日(水)



【小さな話題】

入試問題投稿事件その後

 各種報道によれば、京大などの入試問題が試験中にYahoo知恵袋に投稿した実験で、使われた携帯電話の捜査から、仙台市の19歳の男子予備校生が投稿に関わった疑いが強いことが分かったという。この予備校生は、京都大学をはじめ、入試問題が投稿された4つの大学をすべて受験していたとみられ、試験会場外の協力者と連携しながら不正行為をした可能性が強くなってきた。

 2月28日の日記では、この事件の犯人は愉快犯ではないか、本当に合格しようと思ったらそんなことはしないはずだと書いたところであるが、私の推測とは異なり、ホンマに試験会場から発信がなされていた可能性が強くなってきた。

 しかし、試験会場で問題文を撮影したり、頻繁にやりとりした上に携帯を受信しながら解答用紙に書き写すなどということは常識的に考えてできるはずがない。監督がよほど不注意であったのか、あるいは、ハンドルを逆さに読むと「行くぜCIA」となることから連想されるようにCIA顔負けの精巧なスパイグッズで犯行に及んだのか、今後の解明が待たれるところだ。

 いずれにせよ、今後は、試験会場への携帯の持ち込みは厳しく制限すべきであろう。単に監督が携帯を預かるとか電源を切って机上に置かせるというだけでは携帯を2台以上持ち込む者もありうるので、少なくともトイレ利用者はトイレの入り口で金属探知機などを使う必要があると思う。

 当面は後期試験の対策が必要になるが、発端となった京大では一部を除いて後期試験は実施されない。また多くの大学では、後期は小論文試験とするところが多く、Yahoo知恵袋などに投稿しても回答が寄せられるとは思えない。仮に読書感想文ジェネレーターのような感想文自動作成マシンを悪用したとしても、同じ文体・内容の「答案」になってしまうのですぐにバレるはず。

【思ったこと】
_b0302(水)久しぶりに前期試験の数学問題を解いてみる(2)3つの整数の積が3の倍数である確率と、和が3の倍数でない確率との比較

 今回は、わが岡山大学・数学(理系)の2番の問題を考えてみることにしたい。
nを3以上の整数とする。3n枚のカードに1から3nまでの数字が1つずつ書かれている。この中から3枚のカードを取りだす。ひとたび取りだしたカードは戻さないものとする。
【中略】 (3)3枚のカードの数字の積が3の倍数である確率と3枚のカードの数字の和が3の倍数でない確率とはどちらが大きいかを調べよ。

 この問題で面白いと思ったのは、「どちらが大きいかを調べよ。」の「調べよ」の意味である。単に、どちらが大きいのかを比較すればよいのか、どの程度の差があるのか、nが大きくなるにつれてその差はどうなるのかまで調べなければならないのか(←あるいは、そういうことまで解答すると蛇足とみなされるのか?)、第三者の私には何とも見当がつかない。

 さて、この問題にはいくつかの条件が示されている。問題を解く際には、なぜそのような前提があるのかもヒントにすると良いだろう。
  1. nを3以上の整数とする。
  2. 3n枚のカードに1から3nまでの数字が1つずつ書かれている。
  3. ひとたび取りだしたカードは戻さない。
 このうち、1.の条件がつけられた理由は、まずnが1では3枚のカードしか存在しないので確率を計算するまでもない。nが2の時つまり6枚のカードでは、3つの整数の積が3の倍数である確率と、和が3の倍数でない確率はともに4/5で等しくなって、それ以降の大小関係とは異なるため、問題を易しくするために付加されたのではないかと思われる。

 次に2.であるが、今回は積や和が3の倍数になるかどうかを調べる問題なので、3nまでの数字を書く代わりに、1と2と3の数字をそれぞれn枚ずつ書いても同値である。同値であることは1〜2行で証明しておくほうが丁寧であるが、いずれにせよ数の大きさは考慮する必要はない。

 最後の3.は、例えば1回目に3の倍数のカードを取りだした場合は、2回目以降に3の倍数のカードを取りだす確率が若干減るということを意味する。要するに、nが小さければ小さいほど、サイコロを3回振った場合とは異なった確率になるということである。

 でもって、とにかく、確率を計算すると、
  • 3枚のカードの数字の積が3の倍数である確率 P1=1-2*(2*n-1)*(2*n-2)/3/(3*n-1)/(3*n-2)
  • 3枚のカードの数字の和が3の倍数でない確率 P2=1-(3*n*n-3*n-2)/(3*n-1)/(3*n-2)
というようになる。これらの引き算から、

P1-P2=(n+1)*(n+2)/3/(3*n-1)/(3*n-2)

が導かれ、この値はn>3では必ず正の数となるので、積が3の倍数である確率のほうが大きいことが分かる。

 なお、上記の数式の分子と分母をnで割るなどの手法により定数部分と1/n部分を分離して、nが大きくなるにつれての極限値を求めると、この差は少しずつ減少しながら、

19/27-18/27=1/27

に近づいていくことが分かる。差が縮まっていくことと、1/27に収束するということを証明すれば完璧だろうが、問題作成者はそこまでは求めていないだろう。