じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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§§ 昨日に続いて2月14日の積雪後の写真。岡山県南部での積雪がきわめて珍しいこともあって、今回も大学構内十数カ所で雪だるまが出現した。たいがいは15日の昼までに崩壊してしまったが、建物北側に造られたものの中には翌々日にもまだ形をとどめているものがあった。

写真は2月16日早朝に撮影した一般教育棟D棟北側の雪だるま。水色の円内は金星。

2月15日(火)

【思ったこと】
_b0215(火)サステイナビリティ学連携研究機構(IR3S)公開シンポジウム(3)「持続可能なまちづくり・むらづくり」の疑問点

 昨日の続き。武内氏の「持続可能なまちづくり・むらづくり」構想については、第二部のパネルディスカッションの際にもいくつか疑問が寄せられた。私自身の疑問と合わせて、備忘録がわりに2点ほど記しておく。

 まず、高齢者の都市居住を推進するという構想であるが、日本のような自由主義社会では、ご本人の意に反して強制移住させることはできない。「むら」に住む高齢者にはその土地への愛着があり、「むら」社会の中での伝統や交流を生きがいにしており、できればそこで骨を埋めたいと思っている方も少なくないはずだ。補助金のようなインセンティブだけで簡単に引っ越ししてもらえるものだろうか。ま、もともと大都市育ちで、郊外にマイホームを建てた人たちであれば、経済的な条件さえ整えば都心に回帰したいと思っておられる方も少なくないとは思うが、一般論として、高齢になればなるほど引っ越しはストレスになるし、引っ越しがきっかけて認知症を発症する事例もありうる。

 第二に、こうした構想で日本の食料自給(カロリーベース)は守れるのかという疑問である。このことについては、いくつか補足説明があった。1つは食料自給のデータ(例えばこちら)を細かく見れば分かるように、肉類や鶏卵の自給率は、製品自体の自給率と、飼料自給率を考慮した値では著しい隔たりがある。よって、例えば、日本人がもっと淡泊な牛肉を好むようになり、輸入飼料に頼らずに国内の山林原野で牛を育てて採算がとれるようになれば、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に参加してもそれほど打撃は受けないという議論がある。またグローバル化の中では、日本の農業は多品目・高品質のビジネスモデルに切り替えるべきだという議論もある。じっさい、すでに、高品質の米や果物や木材などは中国の富裕層向けに輸出されている。

 もっとも、低燃費技術などのような省エネルギーの根幹に関わる「高品質」は経済情勢がどのようになっても生き残りの力を持つが、富裕層に依存した品質向上というのは、ひとたび不況となればモロに打撃を被る宿命にあるようにも思える。そういう形のビジネスモデルだけに依存してしまって日本の国力が維持できるのか、周辺諸国から経済・領土問題などの諸々の圧力がかかった時にそれに対抗できるだけの経済圧力を行使できるのだろうかという不安は残る。


次回に続く。