じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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2011年版・岡山大学構内でお花見(5)ローズマリー

まばらではあるが、冬枯れの時期にも花を咲かせている。撮影直前にはメジロが蜜を吸いにきていた。


2月6日(日)

【思ったこと】
_b0206(日)大相撲の八百長は、随伴性を変えることで防げる


 各種報道によれば、メイルのやりとりの記録から八百長が発覚した問題で、日本相撲協会は6日の理事会で来月の春場所の中止を決め、放駒理事長は記者会見で、「相撲ファンの理解をいただける状況にはなく、疑惑の調査も難航している」と述べて春場所を中止した理由を説明したという。

 今回は、野球賭博事件で警察に押収された携帯メイルの記録から発覚したということであったが、八百長をうかがわせるような不自然な相撲はずっと以前からあり、私自身は全く驚かなかった。そんなことより、こういうことが、国家の一大事であるかのようにトップニュースで伝えられることのほうが遙かに問題であると思う。

 八百長問題は以前からささやかれており、多くのファンはそれを否定していなかったようにも思われる。じっさい、今回の事件よりずっと前に実施された(2007年4月)Yahooのクイック調査などを見ても、「相撲界に八百長はあると思う?」という問いには81%が「あると思う」と答えていた。また、現在投票中(2/13締め切り)の、「大相撲の八百長疑惑 あなたの驚きは?」という問いには2月7日朝の時点で、「0ビックリ」が過半数を占めていた。また東京都の石原慎太郎知事は2月4日の定例会見で、大相撲の八百長疑惑について「昔から当たり前のこと」「だまされて見て楽しんでればいいんじゃないか」とかねてからの持論を展開し、「(相撲を)日本の文化、伝統を踏まえた日本の文化の神髄である国技だというのは、ちゃんちゃらおかしい」とバッサリ切り捨てたという。

 もちろんすべての取組が八百長だとは思わないが、7勝7敗で千秋楽を迎えた力士に対してすでに勝ち越している力士があっさり負ける(わざと低すぎる姿勢でぶつかっていって、はたき込まれるような取り組み)というのは殆どが八百長ではないかと思ってみたりする。そう言えば、米シカゴ大のスティーブン・レビット教授が1989年から2000年までの十両以上の取組32000以上の取組を調べたところによれば、7勝7敗で迎えた力士の千秋楽での勝率は75%にもなったとか(出典はこちら)。いや、別にアメリカの教授に調べてもらわなくても、こういう不自然さは当たり前だと思う。




 ではどうすれば、八百長は防げるのか。少なくとも単に力士の自覚を促すというような対策ではダメだ。結局のところ、「相手に負けてやる」という行為をどうやって防ぐのかが問題であり、これは純粋に行動分析学的な課題、つまり、行動の中身に応じて結果を変えてやるという行動随伴性の操作が必要である。「相手に負けてやる」行為が弱化されていないこと、もしくは、相手に勝つという行為が十分に強化されていないことが問題なのである。

 ではどうするか。まずは、番付編成に際して、勝ち越しや負け越しの程度(白星と黒星の差)をもっとシビアに反映させることであろう。現状では、8勝7敗であっても9勝6敗、10勝5敗程度であっても、来場所の番付はそれほど変わらないことがある。それゆえ、すでに8勝している力士は、八百長で負けてやっても重大な損失を被ることが無い。むしろ、相手から金をもらったり、来場所以降の貸しにしておいたほうが有利になる(強化される)からそういうことをしてしまうのだ。勝ち越しの度数に基づく給金直しをもっと大幅にするとか、その場所に限って勝ち越しすればするほど金額が倍々になるような報奨金制度を設ければもっと勝つことに執念を燃やすのではないかと思う。

 その一方、負け越しに対する弱化をもっと厳しくすることも重要だ。現行では、いくら負け越しても給金は下がらない。また、6勝9敗でも、5勝10敗でも、あるいは15戦全敗でも、番付の下がり方にそれほどの違いは出てこない。それゆえ、すでに負け越しが決まった力士は、残りの取組で相手に白星を与えてやるという八百長に走りやすくなる。これを防ぐには、負け越しの度数により減給を実施するとか、負け越した時点でその場所の出場を停止する(残りは全敗扱い)というような方策が考えられる。後者の場合、場所が進むにつれて、8日目が終わった時点では0勝8敗、9日目には1勝8敗、10日目には2勝8敗、というように、負け越した力士が次々と出場停止となっていく。これによって取組の数はどんどん減っていくが、毎日サバイバルとなるので迫力のある取組が期待できるだろう。

 なお上記の方策では、怪我や病気で休場した力士が次の場所で大幅減給、大幅格下げで著しく不利になる可能性もある。その場合は、事情に応じて付け出しの形で地位を保全することも検討したほうがよい。また、少なくとも取組中にで怪我をしないよう、土俵周囲にクッションを敷き詰めるなどの対策が必要である。

 「負け越した時点で出場停止」という随伴性だけでは、八百長仲間どうして星を分け合って千秋楽まで7勝7敗で持ち越そうという棲み分けが企てられる。その場合は、場所の早い時期に勝ち越すほど報奨金が増えるような仕組みを作ることも一案。

 あと、これまでは、対戦相手は審判部の取組編成会議で決められていたようだが、公平性を期すため、横綱大関どうしの対戦以外は、完全に抽選で決めるというのも一案である。コンピュータを使えば、同部屋対戦などは簡単に避けられるはずだ。