じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 家庭菜園の中で休息するサギたち(1月27日撮影)。サギというのは普通は木の上か、水の中に足をつけて過ごす鳥だと思っていたが、なぜかこの時は民家の間にある狭い畑の上で休息していた。寒風が吹き荒れていたためだろうか。

1月28日(金)

【思ったこと】
_b0128(金)この日本人がスゴイらしい(1)「右」と「間」をどう定義するか?

 夕食後にこの日本人がスゴイらしいの一部を視た。番組の最初のあたりで簡単な日本語クイズが2問出された。
  1. 「左」「右」という言葉を使わずに「右」をどう説明しますか?
  2. 「間」という言葉を使わずに「間」をどう説明しますか?
 このうち1.はこの日記でも何度か取り上げたことがあるが、今回の番組終了後に思いついたのは
電流の方向と、磁場の向きを定義した上で、電流の進む方向に対する磁場の回転方向のこと。
という定義。こうすれば、人間が存在しなくても左右は定義できると思った。まず電流については「電子の流れと逆向きが電流の向き」と定義されているので、電子を観測すれば電流の向きは自動的に定まる。問題は、磁場の向きという時のN極とS極をどう定義するのかということになる。しかしウィキペディアでは「磁極の呼称は方位磁針に由来して、北 (North) に引き寄せられる極がN極 (north pole)、南 (South) に引き寄せられる極がS極 (south pole) と呼ばれる(磁性体としての地球のN極・S極は地理上の北・南とは逆である)。」とされており、南北という概念を前提にしてしまうのでは、「その人が北に向いていれば、東にあたる側。」という、ありがちな辞書的定義と同じになってしまう。むしろ、分子構造とか、巻き貝の巻く方向、朝顔の蔓の伸び方で定義したほうがよいかもしれない。要するに、「右」ではなくて「左右」を定義するならば比較的簡単。しかし、左右のどっちを右と呼ぶのかはもともと任意なので、自然界の何かに対応させて「左右のうちのこっちが右」というように定義するほかはあるまい。

 もう1つの「間(あいだ)」の定義であるが、そう言われてみれば、これは難しい。英語では「between」という前置詞はあるが、名詞としては「bay」、「place」、「room」、「space」などに置き換えることは可能であるが、「間」に一対一に対応するような言葉は存在しないようにも思われる。これはおそらく、「英語はモノ、日本語はコト」という特徴に起因しているように思われる。要するに「間」はモノではなくてコトなのである。いま挙げた「bay」なども「柱の間」というコトではなくて、「支柱によって分割された壁の一区画」というモノを表しているようで、日本語の真の「間」に対応する名詞ではない。

 でもって、「間」はどう定義すればよいのか。とにかく、明確に区別できる2つ事象が時間軸、あるいは1次元以上の空間に存在していることが前提であろう。その上で、二者間を結ぶ「線」が定義されなければならない。この場合、線は直線であるのが普通だが、地球表面上の2地点、あるいは円周上の2点のように、特定の曲線で結ぶことも可である。そして、その線分はゼロ以上の長さを持つ(=くっついていない)。そして、その線上、もしくはその近傍の空間が「間」と呼ばれることになる。なお、いま「線」と書いたが、距離は必ずしも定義されていなくてよい。「並び方」さえ定義されていれば、上位と下位の「間」はちゃんと存在する。上述の「くっついていない」という条件は「間が存在していない」と言い換えることもできるので、そのままではトートロジーになってしまうけれど、離散的な事象があれば、その「間」に割り込むという表現はできる。

 なお、「並ぶ(並べる)」というのは、2つ以上の事象を秩序づける作業である。秩序そのものは物理化学の法則を破ることはできないが、秩序づけは人間の勝手な行動である。例えば、いま夜空に見えているオリオン座の三つ星は、ベテルギウスとリゲルの間にあると言われる。しかし、じっさいの宇宙空間では、三つ星自体バラバラであるし()、ベテルギウスとリゲルを結んだ直線上に位置しているわけではない。要するに、地球上に住む人たちが、地球からの見え方に基づいて勝手に天体を秩序づけ、「間にある」と表現しているのに過ぎない。もちろん、そのことで地球上の人たちのコミュニケーション上はそれで何ら支障は起こらないが。
]三つ星のうちのミンタカは900光年、アルニラムは1300光年、アルニタクは800光年離れており、直線上に並んでいるわけではない。

 次回に続く。