じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 皆既月食当日の月。12月21日の朝はよく晴れ、月齢15.2の月が西に沈む様子がはっきりと見えた。12月20日の21時34分に月の赤緯が最北となっているため、沈む方位は相当北に偏っていた。また、同じ21日の夕刻には皆既月食が見られるはずであるが、残念ながら、岡山では雨が降り続く予報となっている。

12月20日(月)

【思ったこと】
_a1220(月)日本質的心理学会第7回大会(21)農と心理学/10回大会と10周年の違い

 連載の最終回。この大会では、もう1つ、11月28日の最後の時間帯に行われた表記のシンポジウムに参加した。企画者から、このシンポが「脳と心理学」ではなく「と心理学」であることが強調された。じっさい、これまで心理学では、「農と心理学」をテーマにした研究が少なく、音声だけで「ノウトシンリガク」と言われれば九分九厘の脳科学との関連のテーマであると誤解されてしまうだろう。

 シンポでは
  1. 青年期就農家族にみる営農スタイルの模索とつながりの形成」
  2. 「農による人々のつながり方」
  3. 「『農』という生のかたち:根づき(アンラシネ)と根こぎ(デラシネ)」
という3つのテーマで話題提供が行われた。このうち3番目のテーマについてはすでに、11月29日の日記で「発達」に関連する内容として取り上げさせていただいた。

 1番目は、子育て期就農家族の営農スタイルの模索というテーマで、農園仲間が集う場面での会話の内容や営農スタイルの定め方についての話題提供であった。

 2番目の話題提供ではまず、ヴィゴツキーの媒介過程の拡張について取り上げられたが、このあたりは私自身の勉強不足もあって難解であった。キーワードは「心理学の資本論」、「人々の交通」であった。

 次に、農のつながりについて
  • 定常性=無限の収奪が不可能
  • 計画の拒否=効用にもとづく無限の商品化が不可能
  • 貨幣に基づく経済の裏側として、贈与や互酬の交換がある
といった特殊性があることが指摘された。ユニクロが農業に参入しようとして失敗したという話にも言及された。また具体的な事例として、農協から離脱して独自の活動を続ける農業法人が紹介された。

 フロアからの質問の機会があったので、私自身からも、現代農業における経営上のジレンマについて質問させていただいた。

 このほか、「学校という制度が何を失わせてきたのかを明らかにすること」、「農に回帰することが本当にいいのか」、「農における競争」などについても論じられたが、シンポが行われた11月28日からすでに3週間以上が経過していることもあって、議論の細かい内容は忘れてしまった。




 なお、2日目にはこの学会の総会が行われた。ふつうこの種の総会というのは、理事などの方ばかり10数名程度で形式的に行われる場合が殆どであるが、この学会では、参加者に無料で弁当が振る舞われた(←実際は大会参加費に含まれている?)こともあって、100名前後の出席があった。そのなかで、常任理事のS氏が、第10回大会をもって学会設立10周年になるというようなお話をされていたので、総会終了後に、「第10回大会開催時点では9周年であって、11回大会の時に10周年になるのではないか?」というくだらないツッコミを入れさせていただいた。

 ということで、今回の大会のメモ・感想の連載を終了させていただく。