じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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§§ 2010年版・岡山大学構内の紅葉(26)岡大七不思議の「落ちないアメリカフウ」と「落ちないイチョウ」

 毎年この時期に掲載している、時計台前の「落ちないアメリカフウ(モミジバフウ)」と、農学部構内の「落ちないイチョウ」。いずれも、周りの同種の樹よりも1〜2週間遅れて落葉するため、この時期によく目立つ。これらの樹の葉っぱを拾って定期入れなどに入れておけば「なかなか落ちない」という受験生のお守りになるかも。

※時計台改修前の「落ちないアメリカフウ」の写真が2007年12月14日の日記にある。「落ちないイチョウ」のほうは、ここ数年、「元祖・落ちないイチョウ」と「二代目・落ちないイチョウ」の2本が目立つようになっており、2009年12月14日の日記にそれらの比較写真がある。

12月5日(日)

【思ったこと】
_a1205(日)日本質的心理学会第7回大会(9)「文化」と「発達」と質的心理学(4)中高年男性の失業に関する研究(2)

 昨日の続き。

 昨日も述べたように、この話題提供に興味を持った理由の1つは、私自身が中高年男性であって同じ世代に属するということにあった。しかしそればかりではない。私の関心は、「質的」という方法でこのような問題はどこまで解明できるのか、何がメリットで何が限界であるのか、というところにあった。

 話題提供ではまず、「中高年男性の失業」というテーマについて、生物学的発達の布置、時間的布置、空間的布置についての考察があったが、これはおそらく、このシンポのテーマである「文化」と「発達」の中での位置づけ、あるいは他の話題提供との関連づけのために提供された枠組みであって、研究そのものの意義づけのためには少々大げさであるように思えた。ちなみに、この研究自体の目的は、「会社及び社会との繋がりに注目して、失業の体験過程を失業前後のプロセスの中で描き出し失業の困難の理由と対処を検討」というところにあり、合計26のデータセット(非自発的離職者10名×2回プラス6名)について、M-GTA(Modified Grounded Theory Approach、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ)を用いた質的分析を行うというものであった。なお、ネットで検索したところ、M-GTAという質的方法についてはM-GTA研究会という研究会が組織されており、活発に研究発表・交流活動を続けておられる模様である。またこちらに、「M-GTAは、どのような意味でGTAの「修正版」なのでしょうか。」というQ&Aが掲載されており、木下先生による詳細な回答が記されていた。

 さて、元の話題に戻るが、中高年男性の失業では、「離職者として」、「失業者として」、「求職者として」という3つの段階があり、それぞれにおいて独特の喪失や、(労働市場からの)拒絶といった体験が伴う。具体的には、離職者として「裏切られ感」や「自信喪失」、失業者として「社会からの孤立・排除」、求職者として「コントロール感の喪失」といった経済的・社会的・心理的困難が生じる。このあたりは、フリーターのような形で次々と職を変える若者とは同一視できない、独特のプロセスがあるように思えた。これに加えて、家族における変化や自身の身体的心理的変化、仕事における変化といった発達的課題があり、また現代日本の社会文化的特徴として、会社への強いコミットメントや企業システムなどがあり、日本の中高年男性における失業は、生活や人生を根底から揺るがす大問題となりそこから抑鬱状態に陥るというのが話題提供の前半部分の主張であった。


次回に続く。