じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 ヤギの居る風景。前にも書いたことがあるが、大学構内の芝地の草刈りはヤギにやらせればいい。

11月13日(土)

【思ったこと】
_a1113(土)日本心理学会第74回大会(48)ことばと社会:心理学的アプローチの可能性と問題点(17)司法コミュニケーションにおける法と言語の接点の模索(4)

 話題提供の後半では、評議で観察される言語行為を27類型に分類して裁判員への影響を検討した2008年発表の研究が紹介された。27類型には「命令・指示・要請」、「論点の確定・まとめ」、「指摘」、「謝罪」、「引用」などが含まれており、27番目は「その他」となっていた。これらのうちで、「指摘」、「評言」、「確認・詳細追及」、「主張(意見陳述)」等は、裁判員の意見に影響を及ぼす言語行為であったという。共通しているのは、制度的談話というコンテキストにおいて、優位・多数集団側の一種の「規範・合意」を作り出すという点であった。

 裁判の進め方については私自身は全くの素人であって理解困難な部分もあったが、理解した限りでメモすると、日本の評議の進め方には論点主導型という特殊性があるという。要するに、種々の判断を下すにあたっては二者択一的な展開となり、結果的に自分の意見が採用されることは多数派(勝ち組)に属することとなり、不採用であれば少数派(負け組)になっていく。また、他の裁判員が皆同じ意見を述べると、「毛利元就の三本の矢効果」が生じるという。

 結論の中でも述べられていたが、こういうプロセスによって、個々の裁判員は優位集団・多数集団の意見に同調し、また裁判官よりの意見になることが多い。要するに、裁判員制度の導入で市民感覚を反映させようなどときれいごとを並べても、けっきょくは、制度導入前と大差のない判決が下されることになりそうだ。話題提供者はそのようなことは一言も言っておられなかったが、私個人としては、今回の話題提供を受けて、ますます裁判員制度は即刻廃止すべきであるという確信を強めることになった。

次回に続く。