じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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2010年版・岡山大学構内の紅葉(10)カイノキの紅葉と黄葉

 農学部前のカイノキの紅葉と、その北東側(本部棟手前)にある別のカイノキの黄葉。赤と黄色のカイノキと言えば閑谷学校が有名だが、わざわざそこまで出かけていかなくても大学構内で楽しむことができるのでありがたい。


11月11日(木)

【思ったこと】
_a1111(木)日本心理学会第74回大会(46)ことばと社会:心理学的アプローチの可能性と問題点(15)司法コミュニケーションにおける法と言語の接点の模索(2)

 昨日の続き。

 話題提供ではまず、「法言語学」と「語用論」について簡単な説明があった。「法言語学」は広義には「法と言語の関わり合いを言語学の立場から分析する分野」であり、「語用論」は今回の場合にあてはめれば「裁判員裁判における評議という場面において、裁判員と裁判官という使用者によって用いられる言語」についての検討ということになる。

 しかし、実際の裁判員裁判のやりとりをこのような研究のデータに使うわけにはいかない。詳細は聞き逃してしまったが、裁判員裁判が実施される以前、法曹三者合同の模擬裁判が行われたことがあり、そのさいの録画を反訳してデータとして利用したというように聞き取れた。そこでは、職業裁判官3人と、市民から選ばれた裁判員6人が議論を尽くして判決を生み出す過程が記録されていたという。

 話題提供者によれば、この模擬裁判の評議では、裁判官が裁判員を説得するという行為はほとんど見られない。しかし、無意図的な影響は出ており、それは裁判官の発言内行為と裁判員の発言媒介行為に齟齬が生じた時に起こると過程された。またその齟齬は、「制度的談話」や「面子威嚇行為」、「規範的影響」、「情報的影響」などによって生じると仮定された。

 なおネットで検索したところ、上述の内容に関連した論考として、

●堀田秀吾『裁判とことばのチカラ−ことばでめぐる裁判員裁判』(ひつじ書房, 2009年)

があり、その書評がこちらに公開されていることが分かった。

次回に続く。