じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 土曜日の夜、町内の子ども会主催の秋祭りが行われた。最近はもっぱらベランダからの見物。


10月23日(土)

【思ったこと】
_a1023(土)日本心理学会第74回大会(30)自然環境と心理学(9)公園散策とWell-Being(2)

 話題提供の後半では、演者の方が2008年に別の学会で発表された内容の紹介であった。某大都市の1地域全所帯(回収率70.4%、n=131)に質問紙調査を実施し、主観的well-being、自然とのかかわり、地域社会との関わり、地域社会に対する評価などを評価してもらったところ、自然とふれあう頻度は、他の評価と有意な相関が見られたということであった。

 話題提供ではさらに、公園散策の継続的な効果(6ヶ月から1年間)を検証した別の学会発表内容も紹介された。こちらのほうは東北地方の地方都市の単一の職場の全職員に対して実施されたもので、回収率は64%、n=371。調査内容は主観的well-being、自然とのかかわり、地域の自然に対する評価、地域社会に対する評価。、年齢別の比較も含まれていた。

 主観的well-beingを従属変数にした重回帰分析によれば、年齢の増加(20代→50代)とともに、独立変数が主観的well-beingに寄与する割合が高くなっていることが示された。

 以上の内容は大変興味深いものであったが、集団を対象とした質問紙調査の限界と言うべきだろうか、自然との関わりが具体的に何を意味しているのか、主観的well-being向上の何に寄与しているのかというところまではよく分からなかった。この種の研究ではむしろ、個人本位の長期的観察などを通じて、自然との関わりの内容をきめ細かく追っていくことのほうが生産的ではないかという気もする。極論を言えば、人類すべてにおいて、自然との関わりがポジティブな効果をもたらすなどという一般化をする必要はない。仮に1、自然との関わりが好影響を与える人が100人中20人にとどまったとしても、その人たちの中での効果が実証され、具体的なプロセスが明らかになればそれでよいと思う。

次回に続く。