じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 柿の季節となったが、今年は猛暑の影響か、全般に値段が高めとなっているようだ。写真は、先日購入した突起のある柿(しぶぬき)。

10月21日(木)



【小さな話題】

「Windows画像とFAXビューア」、「Windowsフォトビューアー」、「Microsoft Office Picture Manager」

 後期の授業から、Win7のネットブックを、授業プリゼンテーション専用に使用している。(←スクリーンに投影するので、液晶画面のヒビは気にならない)。

 ところが、錯視の画像を提示しようとして困ったことが起こった。この種の画像は、JPEGやGIF形式が混在しているのだが、従来のXPノートであれば、最初の画像をクリックすれば自動的に「Windows画像とFAXビューア」が起動して、あとは「次のイメージ」ボタンをクリックするだけで順番に提示することができた。また、錯視の画像では、画像を90度回転させたり、上下を逆さにして提示しながら説明する必要があったのだが、これも問題なくできていた。

 ところが、今回から使い始めたWin7のネットブックの場合、画像をクリックするとJPEGのほうは「Windowsフォトビューアー」で開くのに、GIFのほうはデフォルトではInternet Explorerで開いてしまうのであった。この不具合は、画像を右クリックして「プログラムで開く」から「プログラム選択」のところで「Windowsフォトビューアー」からいつも開くに設定変更することであっさり解決したのだが、なぜかGIFファイルでは、90度や180度の回転ができないのであった。

 いろいろ試してみたが、どうしても解決できず。しかし、「プログラムで開く」のところから「Microsoft Office Picture Manager」を選択すれば、JPEGであれGIFであれ、従来の「Windows画像とFAXビューア」や「Windowsフォトビューアー」以上に簡単に画像を提示したり回転表示できることに気づいた。これはXPマシンにも搭載されていた。

 では、これまでなぜ、「Microsoft Office Picture Manager」の存在に気づかなかったのかと思ったが、ネットで検索したところ、このプログラムはXPに搭載されていたのではなく、「マイクロソフトが販売するオフィススイートであるMicrosoft Office 2003 および 2007 に標準で搭載している画像管理ソフトウェア」であることが分かった。私自身は、パソコンを使い始めたころからもっぱらジャストシステムの一太郎派であって、Microsoft Office 2003は一部のパソコンににしかインストールしておらず、気づく機会が無かったのであった。

 幸いなことに、授業用のネットブックには、「Microsoft Office Picture Manager」が搭載されており、次回の授業では問題なく提示ができそうだ。なお、学外で講演や大学広報活動をする時などは、自前ではなく、備え付けのノートパソコンを借りることが多い。この場合、どのプログラムで画像を開くのか、事前にOSや、「Microsoft Office Picture Manager」の有無を確認して設定しておいたほうがよさそう。また、今後、XPマシンの販売中止によりやむなくWin7マシンを購入する場合は、画像提示に支障が出るかもしれないこと、それで困る場合には、割高を承知でOfficeプレインストール版を買う必要がありそうだ。

【思ったこと】
_a1021(木)日本心理学会第74回大会(28)自然環境と心理学(7)校庭の芝生化と児童への影響(2)

 昨日の日記で述べたように、校庭の芝生化で「子どもが危機的な状況」が救えるというような論理の組み立てには少々飛躍があるように思う。これに代わる控えめな検討は、「校庭は、むき出しの土よりも芝生化したほうが、これだけの利点がある」というエビデンスを揃えることであろう。現実問題として、小中学校の校庭というのは、教育目的以外にも、自然災害発生時の避難所として重要な役割を担っているので、校庭全体を花壇や菜園にするとか、大規模砂場にするということは現実的ではない。かといって、全面アスファルト舗装にしてしまっては、転んだ時の怪我が多くなる。さらには、地球環境保護のために、できるだけ緑地を増やそうという別の意義もある。このような観点から、芝生化を推進するというのが妥当な路線ではないかと思われた。




 さて、実際の話題提供では、実際に校庭芝生化が実施された小学校において、児童の行動にどのような変化があったのかが報告された。

 報告された事例では、6月に児童参加のもとで芝生の種蒔きが行われ、9月になって芝生化が完成。この期間中には、立ち入り禁止となる養生期間が設けられているとのことであった。ということで、実際に子どもたちが芝生の上で活動できるのは2学期の9月以降ということになる。

 実際の調査ではまず、子どもたちがどこで遊んでいるか(遊んでいないという選択肢もあり)について、芝生化前と芝生化後の比率が比較された。芝生化前は、外で遊ぶ比率はきわめて少なかったが、芝生化後は半数以上が「芝生」であると回答。さらに、芝生化後には、裸足になるm仰向けに寝転ぶなど、芝生ならではの新規の遊びも出現した。

 次に、身体活動量やストレス反応についても調査が行われた。そこでは、芝生化が行われた小学校の4〜6年生を対象に、運動量調査とストレス調査(上地2001年の「小学高学年用簡易健康調査」資料。「怒り」、「多愁訴」、「抑うつ」、「睡眠障害」)が、芝生化前と芝生化半年後、1年後の3回にわたり実施された。その結果、運動量については芝生化後に大幅に増加、またストレス反応については、芝生化前から低かった児童については特段の変化はななかったものの、芝生化前に高い値を示していた群ではいずれの項目でも減少が確認されたということであった。

 以上の話題提供については、芝生化という理念と、こころざしには大いに賛同するものであるが、調査結果の解釈については、実験計画上の問題点がかなりあり、指定討論者やフロアからもいくつか疑問が出されていた。

 まず、小学生は常に発達の過程にあり、芝生化と無関係に身体活動量が増えていくという可能性はある。ストレス調査についても同様であり、中央値で分割された時にたまたま値の高かった子どもたちが、その後低い値を示したということもあるし、年齢発達により自然に解消した可能性もある。いずれにせよ、日常生活のさまざまな要因が働いている中で、統計的に確認された変化をすべて「芝生化」のおかげであるとしてよいかどうかは断定できない。

 このことをコントロールするのであれば、例えば、複数の小学校において芝生化導入の年度をずらし、導入した年度から顕著な変化が見られることを確認するという方法がある。行動分析学でよく用いられるマルチベースライン法のようなやり方である。あるいは、校庭の半分を芝生化して、芝生化してない場所と芝生化した場所での行動を比較するという方法もあるだろう。

 あと、この種の芝生化は、北海道、東北、北陸など雪の多い地方では、利用期間がきわめて限定されるであろう。しかし、そういう地域では、芝生上での遊びに代えて、スキー、スケート、雪合戦、かまくら作りなどの冬の遊びができるであろうから、けっきょくのところ、芝生化を含めた多様な有効策を見出していくほかはあるまい。

次回に続く。