じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 体育の日を含む連休中は、北九州にある妻の実家に帰省。写真は、山口県内の中国自動車道沿いで5kmごとに設置されている干支のキロポスト。ウィキペディアなどいくつかのサイトにその記述があるが、設置の由来や制作者は不明。少なくとも15年以上前からあったように記憶している。

 熱中スタジアム・ハイウェイドライブ(前編)では、残念ながらこの干支標識の話題は取り上げられなかった。

10月11日(月)

【思ったこと】
_a1011(月)日本心理学会第74回大会(19)心理学の縦断研究における継時的データの分析方法(6)臨床研究への応用の試み(1)

 10月8日の日記の続き。

 話題提供の4番目は、臨床研究へのマルチレベルモデル適用の試みであった。

 話題提供ではまず、認知行動療法の領域でEvidence-based therapyということが強調されているにもかかわらず、従来の分散分析ではトレンド的な記述ができないという問題点が指摘された。そして、Rachman & Hodgson(1974)を引用し、治療効果の違いや、効果を検出する指標の変化にズレがあるというようなお話をされた。この方面のことは全くの素人であり詳細はよく分からなかったが、要するに、恐怖症の治療を、Fearという主観的指標と、Avoidanceという行動的指標で比較した場合、
  • desensitizationによる治療過程ではまずFearのほうから減少
  • floodingによる治療過程ではまずAvoidanceのほうから減少
  • modelingによる治療過程では、FearとAvoidanceが同期しながら減少
という推移をたどるということであると理解した。

 また、治療の効果には、セッション間で現れる変化(inter-session、among-day)と、同じ日の中でのセッション内で現れる変化(intra-session、within-day)があり、後者の変化が前者の変化に関連していると指摘された。この部分についてのお話は、臨床研究以外、例えば、動物の学習実験のプロセスについてもあてはまるように思えた。例えば、動物に何かの弁別学習をさせる場合、セッション内での学習成績向上が、セッション間でのトータルの正答率向上に関連してくるからである。もちろん、オペラント条件づけのプロセスと、情動に関する条件づけ(あるいは消去)のプロセスでは、反応の現れ方や変化にはかなりの違いがあるとは思うが。


 次回に続く。