じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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2010年版・岡山大学構内でお花見(77)オープンキャンパス参加者を歓迎する花壇。

岡大西門左横(門を入って西側)の花壇。8月6日〜7日のオープンキャンパスに向けて整備。この時期にいちばんたくさん花が咲くように調整された。主な花は、松葉ボタン、ポーチュラカ、各種ハーブ、テンニンギク、バーベナ、グロリオサ、ケイトウ、マリーゴールドなど。


8月5日(木)

【思ったこと】
_a0805(木)[心理]蒸発する百寿者

 100歳を超える高齢者のことは「百寿者」と呼ばれる。2008年9月19日の日記などで取り上げたように、人間は、80歳、90歳、100歳、...というように歳を重ねるごとに老化が進むと考えられているがこれは平均値の問題である。100歳以上の方の中には、80〜90歳よりも元気なお年寄りが含まれていることがあり、その原因がどこにあるのかというのは高齢者研究の1つの課題になっているようだ。また、NHKの百歳バンザイ!でも、元気に生きる姿が紹介されている。

 ところが最近になって、所在不明の百寿者がかなりおられることが分かってきた。8月6日朝のNHKオンラインニュースによれば、自治体に住民登録などがありながら所在が確認できない100歳以上の高齢者は、少なくとも57人に上っているという。内訳は東京で10人、大阪府で9人、千葉県で7人、兵庫県で5人、北海道と岡山県で4人、和歌山県で3人などとなっており、また別のネットニュースでは、大阪府東大阪市が所在不明と発表した高齢者のなかに、住民登録上、「11歳」の女性と「115歳」の男性が含まれていることが5日に分かったという。

 FNNのオンラインニュース(8月5日12時35分配信)によれば、海外のメディアの中には、日本の長寿世界一を疑問視、揶揄する声が出ているという。
...イギリスの新聞「タイムズ」は4日の朝刊で、「『超長寿』を生んだ日本の名声はボロボロだ。世界に誇る100歳以上の人口世界一は確かな証拠はなく、紙に基づくものだった」などとする記事を掲載した。
また、高齢化が進むイタリアでも、主要紙の「コリエレ・デラ・セラ」が電子版で、「100歳を超える日本のミステリー」との見出しで、「日本の人口統計に疑問が出てきた」と報じている。
このほか、アメリカ、中国などでも同様の報道が相次いでいる。
もっとも、日本の百寿者は平成17年の統計で、男性3779人、女性21775人、合計で25554人に上っているというから、上記の批判はあたらない。25000人以上の百寿者がおられることは間違いないし、このことで日本人の平均寿命が統計上「縮まる」ということもありえないと思う。

 ここで考えなければならない一番の問題は、なぜ57人もの百寿者が所在不明になってしまったのかということであろう。一部には家族が年金を不正受給していたという犯罪行為が含まれているようだがすべてがそうとは限るまい。百歳以上の方の場合、その方の子どもといえども70〜80歳の高齢であって、必ずしも元気とは限らない。それぞれの家庭の事情もあるが、結婚や仕事の都合でいったん別居生活をしていた親子が、高齢を理由に同居したからといって、直ちに良好な生活が可能になるとは一概には言えない。しかも、百寿者の場合は、きょうだいや友達も大部分先立たれてしまっている。8月5日の参議院予算委員会で菅総理は、所在が不明の高齢者問題について「社会全体が、人間の関係性をずたずたにする要素が強かったのではないか」と述べ、「人間のつながりをもう一回つなぎあってつなぎ合わせていく」必要性を強調したというが、この場合の「つながり」というのは、単に、親子や孫といった家族のつながりばかりではない。地域の中で、百寿者が安心して生活でき、かつ百寿者の知恵を若者や子どもたちが受け継げるような社会を作っていくほかはあるまいと思う。