じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 イチョウ並木の根元に、ギンナンから発芽したたくさんの幼木が生えている。逞しさ、生命力を感じさせる風景であるが、残念ながらこれらの幼木はまもなく、雑草と一緒に刈り取られてしまう運命にある。


6月3日(木)

【思ったこと】
_a0603(木)[心理]爆問学問「ギャンブルの正体」のコイン問題

 録画してあった、

『爆笑問題のニッポンの教養』FILE110:「ギャンブルの正体」2010年5月25日放送

を視た。今回登場されたのは、「国内唯一のギャンブル学者」を自認する谷岡一郎大阪商業大学教授(現在は学長)であった。

 谷岡教授のお話によれば、ギャンブルにおける「ツキ」というのはしょせん確率の揺らぎであり、競馬の予想の名人であっても長期的に統計をとれば競馬本来の期待値(馬券の購入金額の75%)におさまるということであった。各種のギャンブルの中で期待値が意外に低いのは宝くじ、いっぽう、期待値が高く、超薄利多売となっているのはパチンコということであるが、いずれにしてもギャンブルというのは、胴元がそこそこ儲け、お客もそこそこ楽しめるようなバランスの中で成り立っているようだ。

 番組の中で面白いと思ったクイズが1つ。
3枚のコインがある。1枚は表裏とも太田の似顔絵、1枚は表裏とも田中の似顔絵、もう1枚は片面が太田、片面が田中の似顔絵となっている。これらを袋に入れてよくまぜて1枚を取り出したところ、片面に太田の似顔絵が描かれていた。この時、そのコインの裏側が太田である確率を求めよ。
というものであった。Googleで「爆笑 ギャンブル コイン 太田 田中」というようなキーワードで検索すると82700件もヒットすることからみて、このクイズに興味を持たれた方はかなり多かったようだ。

 このクイズの面白いところは、正解が2/3であるのに対して、多くの人が1/2と答えてしまうところにある。

 あくまで私の勝手な解釈であるが、これは、袋の中から表側に太田の似顔絵が描かれたコインが取り出された時点で、

このコインは、「両面太田コイン」か「太田・田中コイン」かいずれかである。その確率は2枚のうちの1枚なので1/2

というように推測してしまうためではないかと思う。

 ここで、太田を赤い●、田中を青い●で表すと、コインは「●●」、「」、「●●」という3種類になる。但し、このクイズでは「●●」というコインが袋に何枚入っていようと、確率の大きさには全く関係が無い。「●●」と「」という2枚のコインだけが問題となるが、そのどちらであるかというように考えてしまうと1/2という誤答になってしまう。

 こういう時は、上記の●の大きさを変えて、「」という「」2枚のコインがあると考えれば分かりやすい。袋から取り出したコインが赤色であったという場合は、大中小の3通りの赤丸のいずれかということであり、その裏が青になるのは、上記では赤丸が「中」の時に限られる。この確率は1/3、よって表も裏も赤である確率は2/3。これなら間違える人は大幅に減るはずである。

 内容は少し異なるが、心理学でよく知られているクイズに「4枚カード問題」(ウェイソンの4枚カード)というのがある。誤答が起こりやすいクイズの代表格であるが、日常的な問題に置き換えると正答率が増すというところが面白い。




 この種の確率問題では、単に出された問題を解くというだけでなく、いろいろな応用問題を自分で作って解いてみるという楽しみがある。今回の場合は、例えば、
3枚のコインがある。1枚は表裏とも太田の似顔絵、残りの2枚は片面が太田、片面が田中の似顔絵となっている。これらを袋に入れてよくまぜて1枚を取り出したところ、片面に太田の似顔絵が描かれていた。この時、そのコインの裏側が太田である確率を求めよ。
という応用問題などはいかがだろうか。もし上記の私の仮説が正しければ、多くの人は、1/3であると誤答するはずだ。しかし、正解は今度は1/2になるのである。

 ではもう1つ、こういう問題にしたらどうだろうか。
3枚のコインがある。表には、それぞれ、松、竹、梅の絵が描かれており、松の裏には桜、竹の裏には鶴、梅の裏にはウグイスの絵が描かれていた。これらを袋に入れてよくまぜて1枚を取り出したところ、片面に植物の絵が描かれていた。この時、そのコインの裏側が植物である確率を求めよ。
 私の仮説が正しければ、こちらの問題では正答率が上がるはずである。すなわち、「片面に植物の絵が描かれていた」というのは、「松、竹、梅、桜」の4通りのいずれか。このうち、裏面が植物であるのは、松か桜が出た場合の2通りである。よって容易に1/2という正解が出せる。