じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 2010年版・岡山大学構内でお花見(12)スモモ咲く
 本部棟近くのスモモ(ベニバスモモ)が花を開いた。別名、アカバザクラとも呼ばれる。明日からは前期試験合格者の入学手続が始まる。新入生の歓迎の花となるだろう。


3月13日(土)

【思ったこと】
_a0313(土)[心理]タダでもうける?! “無料ビジネス”の舞台裏(3)参加動機と継続要因の違い

 3月10日放送のNHKクローズアップ現代:タダでもうける?!“無料ビジネス”の舞台裏

という番組の感想の続き。

 これまで無料サービスを利用するという行動について述べてきたが、厳密には、
  1. 無料サービスに新たに申し込む
  2. 無料サービスを継続的に利用する
という2段階があることに留意しなければならない。

 このうち1.が発生するためには、「こういう無料サービスがあります」という何らかの情報が、行動参加の手がかり(=弁別刺激)として利用されなければならない。

 そのきっかけとしては、ネット広告、テレビCM、口コミ情報、DM、メルマガなどがあるが、単に広告が目立っているというだけでは決してきっかけにはならない。行動参加の手がかりとして機能しうる条件としては
  1. 現在、すでに習慣化している行動とどのていど競合的であるか?
  2. 類似の無料サービスについての過去の経験
  3. 現在、類似の有料サービスを利用し、かつその支出の多いことが問題となっているかどうか
  4. その行動自体に随伴する好子に関してどの程度の確実性が期待できるか。
などを考えることができるだろう。

 まず1.であるが、すでにいろいろな行動にあけくれていて充分に満ち足りている人、あるいは、忙しすぎてこれ以上新しい行動を開始することができない人は、いくら無料であってもそれに参加することは難しい。

 2.に関しては、過去にいろいろな無料サービスを利用して騙されたり、無料お試しでは強化されなかった人は、「無料」という宣伝文句には見向きもしなくなる。逆に、いろいろな無料サービスをうまく利用できた人は、それによって強化され、その般化として、新たな宣伝にも惹かれやすくなるだろう。

 3.は、要するに少しでも安いサービスに切り替えようとする行動。しかし、有料サービスが金銭的負担になっていない人は、面倒な乗り換えには応じないだろう。

 4.は、好子出現という事象についての確率判断である。判断の手がかりとしては、情報源の信憑性、過去の実績、利用者の数などが影響する。

 以上に述べたことはすべて、「無料サービスに新たに申し込む」というきっかけ段階での話にすぎない。すでに指摘したように、何かの商品を買うか買わないかという1回限りの選択であれば、ここまでのファクターで説明ができるかもしれない。しかし、無料サービスをビジネスに結びつけるためには、ユーザー(参加者)の行動を継続的に強化しなければならない。これらはすべて、行動の直後に随伴する結果に左右される。「無料に心を奪われて分別を無くし、不利な選択さえしてしまう」わけでは決してない。

 次回に続く。