じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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2010年版・岡山大学構内でお花見(5)文学部構内の梅も開花

 ここ数年、2月中旬になると暖かい日が続き、県北のスキー場が早々と閉鎖されてしまうことが多かったように記憶しているが、週間予報では、この先少なくとも2月9日頃までは、最低気温がマイナス2℃からプラス1℃前後の日が続くと予想されている。

 そんな寒さの中ではあるが、立春を前に文学部構内の梅の花が開き始めた。


2月2日(火)

【思ったこと】
_a0202(火)[一般]「フードデザート」と言うが...

 夕食時に

NHKクローズアップ現代 「“フードデザート”〜広がる食の砂漠〜

を視た。

 番組の冒頭では、「都市に住む高齢者の食卓に異変がおきています。」、「歩いても歩いても新鮮な食べ物が買えないフードデザート、いわゆる“食の砂漠”が全国に広がっています」、「深刻な健康被害から高齢者を守るにはどうすればいいのか?」といった、危機をあおるキャッチフレーズが続いた。


リンク先の記録サイトを参照しつつ、番組内容を要約すると、
  1. 景気低迷により中小のスーパーが次々と閉店し、都市部に住む高齢者の買い物環境が悪化。肉や野菜、魚、果物など、生鮮食品をほとんど摂ることができない"フードデザート(食の砂漠)"が広がっている。
  2. こうした地域に住むお年寄りの2人に1人が「栄養不足」。高齢者の慢性的な栄養不足は、老化を加速し、肺炎や脳卒中などのリスクを高め、寝たきりにつながりかねないと、危機感を強めている。
  3. イギリスでは、国を挙げて対策に乗り出し、街づくりを根本から見直すことで危機を克服した(←実際に紹介されたのは、高齢者の住む公団住宅の周辺に学生アパートを建てて、食品スーパーを確保したという事例)。
というようになるかと思うが、うーむどうかなあ、「中小スーパー閉店による高齢者の買い物環境の悪化」、「高齢者の慢性的な栄養不足」、「街づくりの見直し」という3点は必ずしも連動するものではなく、論点に飛躍があるように感じた。

 番組冒頭では、水戸市の駅近くに住むお年寄りが、最寄りのスーパーの閉店により、徒歩で30分もかかる別のスーパーまで買い出し。これによって、欲しい食料品でも運ぶのが重すぎて大変だから買えないというようなことを嘆いておられた。

 しかし、この種の問題であれば、高齢者無料のコミュニティバスや、スーパーの送迎バスを運行させれば、わざわざ歩いて買い出しに行かなくても済むはずだ。

 また、市の配食サービスが1食500円で、毎月の食費を2万円に抑えなければならない年金生活者には利用できないというようなご事情も紹介されたが、であるなら、もっと補助を出して、安価に食材セットの配達サービスが受けられるようにすればよい。

 いくらイギリスの事例のように、学生アパートを建てて、高齢者の住居のすぐ近くに食品スーパーを確保したところで、収入の少ないお年寄りの栄養不足は解消しない。足が不自由になればどっちにしても利用できない。なんだか、フードデザートの結論が先にあって、後から事例をくっつけて番組をまとめ上げたような気がするなあ。

 このことでふと思ったが、日本では各地に地域生協があり、共同購入・配達のサービスもやっていたはず。高齢者向けに、専門の御用聞きの職員を配置し、配達も冷蔵庫まで届けるようにすれば、近隣にスーパーがあることは必ずしも必要条件にはならない。もちろんコストが増える分は自治体の補助を受けるようにする。最近の地域生協は、近隣の食品スーパーと同じ商品ばかり並べていて値段が高いばかりで、あまりメリットを感じなくなってしまった。

 この問題に限ったことではないが、何か社会問題があった時、その原因の1つに的を絞って「○○が原因だから、これをなんとかして消し去らなければならない」という解決策を強調する番組があるが、当該原因がそのままあったとしても別の改善策によって、問題が解決するということはいくらでもあると思う。上の例で言えば「食品スーパーの閉店が相次いだという原因が、高齢者の食卓の危機をもたらした」ということが事実であったとしても、だからスーパーを増やすべきだというのが唯一の解決策であるとは言えない。上記のコミュニティバスや食材配達、地域生協による高齢者向けサービスの充実などがうまく機能すれば、フードデザートは自然に消滅するはずだ。