じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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§§ 本部棟のガラスに反射する太陽の光を受けて輝くハクモクレンの蕾。ダイヤモンド富士とは異なり、いったん反射した太陽の光が蕾の後ろ側からあたっている。

 なお「ダイヤモンド時計台」の写真が1月19日の日記にあり。


1月22日(金)

【思ったこと】
_a0122(金)[心理]NHK、「男性は分析が好きで、女性は他者に反応する事が好き」を公認?

 1月20日の夕食時の

NHKためしてガッテン「女性の最強ダイエット 完結編

で、「女性はなぜダイエットに失敗してしまうのか」という話題を取り上げていた。そう言えば『共感する女脳、システム化する男脳』という本があったなあ、などと妻に話していると、なっなんと、「最新の研究でわかってきた「男女の脳の性差」と題して、ホンマにSimon Baron-Cohenほかによる、

Baron-Cohen, S, Knickmeyer, R, & Belmonte, M (2005). Sex differences in the brain: implications for explaining autism. Science, 310, 819-823.

が大々的に紹介されているではないか。

 しかし、なんだかなあ。女脳、男脳の話は、2008年の日本心理学会第72回大会で乱数生成課題における男女差という形で話題提供として取り上げられたことがあり、羊水のテストステロン(Testosterone)の差が影響を及ぼすという証拠があると聴いて、ある程度は納得したが、現実のセルフコントロールの場面で、男性用と女性用に分けて論じなければならないほど男女の差が明白であるとは思えないなあ。だいいち、「女脳イコール女性」ということではあるまい。共感指数(EQ)とかシステム化指数(SQ)で測ってみれば、女性でもSQのほうが高い人もいるし、男性でもEQのほうが高い人もいる。番組での取り上げ方は、まるで、血液型別のダイエット法提唱者と同じようなトンデモ型の持ち上げようである。

 番組情報サイトにもあるように、番組では、
  1. 男女の鉄道ファンに、鉄道のどこが好きなのか調査したところ、男性は「メカ」が好きな人が多く、女性は「旅行」が好きだという人が圧倒的に多かったのです。
  2. こんな男女の違いが、ダイエットの成否にどう関係しているのでしょうか?
  3. 最新の脳の研究によると、男性は分析が好きで、女性は他者に反応する事が好きだといいます。
  4. ダイエットは、なぜ体重が増えたのか?どうして減らないのか?など分析がしっかりできると、成功率が高くなります。
  5. 男性がダイエットに成功しやすいのは、もともと分析が好きだったからなのです。
というような説明があり、「女性特有の(ダイエット法)が発見されたのでお届けする(立川志の輔氏)」という触れ込みであった。

 しかし、男性が「メカ」が好きだということと、脳の研究はそんなにダイレクトには結びつくとは思えない。たまたま、少年雑誌でメカを取り上げたり、(男の)友達どうしで話題になりやすいのでメカに興味を持ったということだってある。「男の子は機械のおもちゃで遊びたがり、女の子は人形のおもちゃで遊びたがる」などという見方もあまりにもステレオタイプで、男女差別・偏見を助長するのでは、と批判されそうな気がする。

 それから、男性は「測るだけダイエットで成功する」が女性はそれではダメで「(みんなと一緒に)おしゃべりしながら楽しくダイエットすることが女性の脳の性質にピッタリ」というように指南されて、ゲスト各位も納得していたようだが、これもどうかなあ。「みんなで一緒にやる」、「お互いのダイエット情報を交換する」などというのは、セルフコントロール成功の秘訣としては常識であり、行動分析学の強化理論でちゃんと説明がついている。であるからして、女性はもちろん、男性でもそのように実践すれば、成果が上がりやすいことは確実、決して「女性の脳の性質に合わせた」「女性専用の」ダイエット法ではない。私は断じてガッテンしないぞ!

 番組全体の中では、「女性脳」や「共感型」に言及した部分はごく一部であったけれど、この部分に関してはとにかく行きすぎ、物議を醸し出しそうなトンデモ番組であるように見受けられた。