じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 広島県福山市・鞆の浦の埋め立て・架橋計画をめぐり、地元住民らが県を相手取り、知事が埋め立て免許を県と市に交付しないよう求めた訴訟の判決が10月1日、広島地裁で言い渡された。判決では
  • 鞆の浦の景観は住民らの利益にとどまらず、瀬戸内海の美観を構成し、文化的・歴史的価値をもつ「国民の財産ともいうべき公益」と指摘し、法的保護の対象になると判断。
  • 瀬戸内海の環境保全を趣旨とする「瀬戸内法」によっても公益として保護されていると述べ、景観を侵害する政策判断は慎重になされるべきだとした。
  • 行政側が実施しようとしている道路や駐車場の整備などの事業に必要性や公共性があることは認めつつ、景観保全を犠牲にしてまでの必要性があるかどうかについては「大きな疑問が残る」とした。
  • 事業が完成した後に景観を復元することは不可能で、事業自体の調査・検討も不十分として、埋め立てを認めることは知事の裁量権を超えており差し止めの対象になるとの結論を導いた。
    【以上、朝日新聞記事からの要約引用】
 鞆の浦埋立て架橋計画問題については2009年3月1日の日記でも取り上げたところであるが(但し、リンク先のじゃらん・おでかけガイドのアルバムの写真は先方の都合で廃止されている)、地元の一部住民の目先の利益ではなく、景観を国民の財産として捉えた点で画期的な判決であると言えよう。

 2009年3月1日の日記でも述べたが、グリーンラインの取り付け道路を整備すれば、鞆の浦を通過するだけの車、あるいは、港の西側に住む人たちが福山方面に向かうための生活道路は十分に確保できるのではないか。 また、人口700人の島とを結ぶフェリー1本だけのために、この地を埋め立ててフェリーターミナルを築くなどというのは全くナンセンスであり、必要があるならもっと福山市に近いところにある福山港のフェリーターミナルを整備したほうが利便を図れるようにも思える。このほか、一方通行路の拡大や、時間帯による通行制限、観光用大駐車場を鞆の浦手前の福山市側に整備してシャトルバスで送迎するといった対策をとれば、緊急時にも十分対応できるはずだ。

 今回の判決をきっかけとして、全国の「公共」工事についても、国民の財産という観点からの景観保護、さらには地球規模での環境保護の関連から精査がされていくことを期待したい。特に期待されるのは、諫早湾干拓事業の見直しと干潟の可能な限りの再生である。すでに開通している諫早湾干拓堤防道路ふるさと農道や、すでに営農が開始された地域はそのまま残しつつ、水門は永久開放し、地球環境を守るために干潟がどれほど貢献しているのかを世界にアピールするための発信地として再整備していくべきだと思う。その際には、これまでの工事で死滅したムツゴロウたちを慰霊し、世紀の大愚策を強行したことを地球生命に詫びるための懺悔の碑をどこかに建ててほしいものだ。



10月1日(木)

【ちょっと思ったこと】

山で元気に! 田部井淳子の登山入門」

 NHKの趣味悠々「山で元気に! 田部井淳子の登山入門」をDVD録画しながら毎回欠かさず拝見していたが、9月30日の10回目をもって、めでたく最終回となった。

 中学生の時に単独で登った箱根・金時山以来、42年あまりの登山歴をもつ私ではあるが、登り方は全くの自己流であって、教えられることも多かった。

 登山道ですれ違う時には、登り優先、待つ時は山側へよけるなどというのは、これまで一度も守っていなかったような気もする。第9回と10回の富士登山シリーズでも、登山前に高所に慣れるための休息をとるとか、頂上のほうばかり見ると疲れるのでこれまで登ってきた下のほうを見ろとか、ゆっくり歩け、というようなご指導があったが、昨年、須走口から日帰り登山をした時などは、休息はロクにとらず、ひたすら頂上方向を眺め、早足で登ってしまった。ま、まだ私の体力であれば、富士山程度の山ならまだまだ日帰りで登れると思う。

 もっとも、昨年の富士登山の際には、下山路で転んで、新調したばかりのゴアテックスのズボンに穴を開けてしまった。幸い、からだのほうには怪我は無かったが、富士山はやはり下山の時のほうが要注意である。今回の番組でも「頂上でバンザイ」で終わらず、五合目まで戻ってきたところでゴールとしたのはたいへんよかったと思う。登山は常に、登山口まで下りてきたところがゴールであって、頂上は単なる通過点に過ぎない。

 それにしても田部井さんは相変わらずお元気。こんどの正月は、どうやらカンボジア最高峰アオラル山に登頂、暮れゆく年の最後の夕日を聖山プノン・バケンの頂で、2010年の初日の出をアンコール・ワットで拝みますという企画に同行される模様。

 なお、今回の10回シリーズの中で取り上げられた山のうち、谷川岳と燕岳には私はまだ登っていない。燕岳というのは、高校の教師をしていた父親が、学校行事の引率で毎年のように登っており、ふもとの中房温泉からの絵はがきが届いていたので、地名だけは記憶していた。そのうち登ってみたいと思う。