じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 皆既日食風の夜景

 7月22日の夜は桃太郎スタジアムでサッカーの試合があり、照明設備の影響で周辺地域まで昼間のような明るさになった。写真は農学部農場の田んぼからの眺め。日の出の直後に皆既日食が起これば、このような景色になるものと予想される(写真の中の黒い丸は、私が勝手に付け加えたものでホンモノのコロナではない)。


7月22日(水)

【思ったこと】
_90722(水)[一般]皆既日食その後

 7月22日午前に起こった皆既日食は、悪石島や上海では雨にたたられたが、硫黄島周辺の洋上や、中国の内陸部の都市の一部ではたっぷりと観測できた模様である。現時点で私が把握している情報は以下の通り。なお、岡山での部分日食の様子は楽天版(7/22付け)にあり。
  • 悪石島:午前11時前に風雨が強まり、悪石島小中学校の校庭で日食を待っていたツアー客らが体育館などに一時避難。
  • 硫黄島近海の船上:「周りにはところどころ雲があったものの、ほぼ天頂付近では、皆既となった太陽がよく見られました。...」(渡部潤一氏談)。
  • 硫黄島の海岸:薄い雲がかかっているようにも見えたが、コロナやプロミネンスも見えた。NHKが完璧な映像を生中継。
  • 奄美大島北部:欠ける様子の一部は観察できたが、コロナは見られなかった模様。
  • 屋久島:NHKの生中継では雨が降っていた。
  • インド:バラナシでコロナ見られる(NHKの番組)
  • ブータン:雲が多めであったが、コロナは見られたようだ(NHKの映像より推測)。
  • 中国:武漢では見られたが、成都は部分食の途中で雲に覆われる。上海は皆既食の前から雨。
  • 機上:139人を乗せて鹿児島空港から午前10時すぎに出発し、40分かけて種子島の南南東180キロ、高度およそ1万3000の上空から観測(飛行機の真上に太陽があるためコロナは見られない)。
 ちなみに、上記のうち、全日空企画の機上観測ツアーの詳細はこちらにあった。窓側の座席と隣席・隣々席を含む窓側座席列を1組として販売されており、2名利用の場合は80,000円、3名利用の場合は100,000円ということであった。但し、「飛行時間中は太陽が高い位置にあるため、機内からは皆既日食そのものは観測することができません」という断り書きがあった。

 また、豪華客船チャーター利用のほうは、「ぱしふぃっくびぃなす号」や「ふじ丸」などが洋上で観測できたようだ。詳しくは調べていないが、最安値の4人部屋船室で13万円台であった模様。

 以上を概観してみると、どうやら、日本国内の陸地で完璧な皆既日食を体験できた人は、硫黄島関係者(自衛隊の基地関係者)と、特別に許可を得て上陸したNHK撮影・中継スタッフに限られていた可能性が高い。
追記]その後得たニュースでは、鹿児島県・喜界島で、薄い雲の中、ダイヤモンドリング、コロナ、プロミネンスが確認できたという。この島での皆既継続時間は2分15秒、ツアー客は約380人。

 なお、今回の皆既日食は、「国内の陸地では46年ぶり」と形容されていることが多いが、私個人としては、「1988年3月18日以来22年ぶり」というほうがぴったりする。確かに、あの時は、日本国内の陸地には皆既日食帯はかかっていなかったが、今回のような洋上観測をするならば、日食帯が陸上にかかるかどうかはどうでもよいことだ。

 ところで、皆既日食のライブ中継では、画面いっぱいにコロナを映し出す場合が多いが、2002年12月4日の日記などで書いたように、ああいうものは、いつどこで起こった日食であっても大差なく(←専門家が見れば、コロナの形から太陽活動の特徴が分かるらしいが)、私自身は全く魅力を感じない。その時の日記にも書いたように、皆既日食見物の醍醐味は、真っ昼間の景色が急速に暗くなっていく変化にある。皆既日食の瞬間を望遠鏡で眺めるだけだったらテレビやインターネットの画像でも大して変わりはない。写真なども他の人の撮影したものを見せてもらえば済む。しかし、大空全体を肉眼で見渡すことは、現地に行かないとなかなか体験できないと思う。その点、今回、NHKの番組で、硫黄島や洋上の中継の中で、皆既日食の最中の広角映像が紹介されたのは大変よかった。ま、人にはいろいろな趣味、価値観があるので、他の人の行動をあれこれ言うつもりは毛頭ないが、私がもし硫黄島や洋上で皆既日食を体験できたとしたら、肉眼で大空全体を眺めることに専念したいと思う。コロナの拡大写真などは、専門家が1枚撮ればそれで十分。といいつつ、私自身、カメラを手放せない人間ではあるが。