じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 7月末の職員定期健診に備え、早朝5時すぎに、従来より長いコースで散歩をしている。写真は5月14〜15日と、5月26日の比較。アヒル農法で活躍していたアヒルたちは一週間ほど前に姿を消した。生協食堂のメニューに「アヒル定食」が登場するかも? 下の2枚の比較写真で気になるのは、早朝5時台であるにもかかわらず、同じ車が同じ場所に駐められているということ。学内の交通安全に責任を持つ立場ではないので、この件については特にコメントすることはない。事実のみを記録しておく。



6月25日(木)

【思ったこと】
_90625(木)[一般]生誕百年 太宰治はなぜうける?」(2)

 6月22日に放送され、HDDに録画してあった、

NHKクローズアップ現代「生誕百年 太宰治はなぜうける?

の感想の続き。

 番組では、「太宰はうける」のか?について、何名かの大学研究者から、また、スタジオでは井上ひさし氏から、わかりやすいコメントがあった。それらのコメントはおおむね納得できる内容であったが、「なぜうける?」のかという説明として妥当なものであるかどうかについては、もう少しツッコミを入れてみる必要があるように思った。

 例えば、読書感想文のテーマとして『人間失格』を選ぶ高校生が増えたのはなぜかという問題と、太宰の作品が生誕100年、世を去って60年以上も経ってなぜ読み継がれているのかという問題は、とりあえず分けて考えたほうがよいのではないかと思う。

 前者の場合、高校生は、何十冊もの異なる小説を読み比べた上で最終的に『人間失格』を選んだわけではあるいまい。いや、中にはそういう読書家もおられるだろうが、たいがいは、まず書名に惹かれ、その本の評判を聞いたり、友人たちと相談したり、最初の数ページの読みやすさに惹かれて感想を書こうという気になったのではないかと推察される。

 いっぽう、後者の問題は、昨日挙げた、
  • 3. 作品の主人公はボロボロであっても、読者を勇気づける表現がある
  • 4. 日本語自体が持つ魅力を保持しつつ、分析力と経済性を備えた近代散文の長所を取り込んだ表現(あたかも目の前で言っているような印象を与えてくれる)。
といった点によるものと推察される【いずれも長谷川が要約改変】。特に、井上ひさし氏が指摘された4.は、太宰の作品の大きな魅力であると言ってよいかと思う。但し、いま「ふたたびブーム」となっている原因ではなく、恒常的に人気をよんでいる理由のほうに属している。




 ところで、ひとくちに太宰の作品といっても『人間失格』と『走れメロス』では内容も、読者に与える印象もまるっきり異なっている。これらを同列視してブームの原因を探っても、得られるところは少ないのではないかという気がする。

 ちなみに、青空文庫から閲覧できる223作品(2009年6月26日現在)の中で、私が好きなものは、 などの短編に限られている。『お伽草紙』の中では『浦島さん』が特に私の好みである。未読の方にはぜひオススメしたい。なお、私が初めて太宰の作品に接したのは、『佐渡』であった。これは確か、私が受験した中学の、前年度の国語入試問題であったと記憶している。『走れメロス』のほうが先であったかもしれないが、メロスのほうはどこかで聞いたような話であって、未だに、太宰の代表作品であるようには思えない。