じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 2009年版・岡山大学構内でお花見(41)イングリッシュガーデン的風景

 文学部西側の出入口付近からの風景。道路や駐車場の車が樹の陰に隠れて、イングリッシュガーデン的な風景が広がっている。

 なお、2009年5月16日の楽天版に掲載したヒルザキツキミソウの写真は、今回の写真の左端から右方向へのアングルで撮影されたものである。


5月16日(土)

【思ったこと】
_80516(土)[一般]暗黒に支配される宇宙(4)宇宙の形とポアンカレ予想

 5月12日の日記の続き。

 前回の日記で、「肝心なことは目に見えない?」という話題を取り上げた。そこで言われていた「目に見えない」とは、
  • 光が届くには膨大な時間がかかる。
  • 「晴れ上がり」前の宇宙誕生当時の様子は光が届かないので見えない。
  • 暗黒星雲のように可視光では観察することができない存在もあるし、そもそもダークマターやダークエネルギーなどは、直接観察することさえできない。
というような意味であった。しかし、我々は、目に見えない対象であっても、数学の問題としてその構造を考えることができる。

 このことで思い出したのが、今年の3月9日にアンコール放送された

100年の難問はなぜ解けたのか〜天才数学者 失踪の謎〜

という番組であった(もともとの放送は2007年10月22日)。

 DVDにダビングして何度か視ているが、私の頭では、そもそもポアンカレ予想
単連結な3次元閉多様体は3次元球面S3に同相である。
という意味自体がよく理解できないの。但し、宇宙全体が球体のような形をしているのか、ドーナツのように真ん中に穴が空いた形になっているのかという区別、あるいは、ある出発点からロープを伸ばして宇宙空間を任意に周遊させ元の地点に戻った時に、そのロープがたぐり寄せられるかどうかという問題の意味はある程度理解できる。

 タイトルにも表れているように、上掲の番組は、ポアンカレ予想を証明したロシア人数学者グリゴリー・ペレルマンが2006年のフィールズ賞の受賞をなぜ辞退し失踪したのかということに注意が向けられていた。しかし、私がむしろ興味深く拝見したのは、ポアンカレ予想に多くの数学者が惹きつけられそのあげくに挫折、その一方で、トポロジーが大きく進展し、サーストン幾何化予想「コンパクト3次元多様体は、幾何構造を持つ8つの部分多様体に分解される」に至ったプロセスであった。

 このあたりも私の頭では理解できない部分が多いのだが、番組では、万華鏡の無限に近い模様が少数個の色切片(着色されたプラスチック切片など)から構成されているという喩えに基づき、ようするに宇宙がどんな形であっても、球体やドーナツなど8種類のパーツから成り立つというように説明されており、これってスゴイなあと感動することはできた。

 もう1つ興味深かった点は、ウィキペディアの当該項目にも記されているように
殆どの数学者がトポロジーを使ってポアンカレ予想を解こうとしたのに対し、ペレルマンは微分幾何学と物理学の手法を使って解いてみせた。そのため、解の説明を求められてアメリカの壇上に立ったペレルマンの解説を聞いた数学者達は、「まず、ポアンカレ予想を解かれた事に落胆し、それがトポロジーではなく微分幾何学を使って解かれた事に落胆し、そして、その解の解説が全く理解できない事に落胆した」という。なお、証明には熱量・エントロピーなどの物理的な用語が登場する。
という形で解決されたことであった。番組では、ペレルマンが高校時代から物理学を得意としていたと紹介されていた。もし彼が、1982年の国際数学オリンピックではなく国際物理オリンピックに出場していたら、別の進路を選んだかもしれないという声もあった。ちなみに、ウィキペディアには、ペレルマンは
現在は、無職。故郷で母親と共にわずかな貯金と母親の年金で細々と生活しているらしく消息は不明だが、ひそかにケーラー・アインシュタイン計量の存在問題に取り組んでおり、数学者としての研究はいまだ放棄していないと言われ、趣味はキノコ狩りとされている。
という噂を紹介しているが、私には、ケーラー・アインシュタイン計量の存在問題と言われても何のことやらさっぱり分からない。ペレルマンのような大天才であったら、ひょっとして、タイムマシンを発明して別の時代を旅しているのかもしれないと思ってみたりする。

 不定期ながら、次回に続く。