じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 2009年版・岡山大学構内でお花見(40)

 文学部中庭のノイバラとトベラの白い花。




5月13日(水)

【思ったこと】
_80513(水)[心理]犬と飼い主は似るか?(1)

 自前のアンテナ経由で拝読している中島定彦氏のブログ(5/13付け)に、興味深い記事があった。内容についてはリンク先に詳しく記されているので、そちらのほうをご参照されたい。

 私自身が理解した範囲で要約すると、まず、最初の実験では、犬の写真5枚を、飼い主の写真5枚と正しく組み合わせるというテストを70人の評定者にやってもらった。飼い主は愛犬団体の集いに参加した方50名(使われたのは40名分)とそれぞれ飼い犬(使われたのは、ちゃんと写っていた40頭分)であり、撮影時には実験目的は明かしていない(表情にバイアスがかかrないため)。また評定者は犬や飼い主の顔を全く知らない人たちばかりであった。実験は写真5枚ずつ8回行われた。その結果、評定者の正答率は統計的に有意に高かったという。

 この実験結果からは、飼い主や犬のことを全く知らない人であっても、犬と飼い主の関係を偶然以上の確率で当てることができることが分かる。但し、その際、「犬と飼い主の類似性」を手がかりにしているのかどうかはこの段階では分からない。犬の単なる毛色や形や大きさを手がかりにしているかもしれない。

 そこで新たな評定者16名に「最も正解の多かった犬と飼い主のペア」と「最も間違いが多かった犬と飼い主のペア」について、どちらが犬と飼い主の類似性が高いかという評価をしてもらった。その結果、正解の多かったペアのほうが類似性が高いと答えた評定者が16名中12名にのぼり、類似性が手がかりになっている可能性が示唆された。但し、元の論文を拝見していないので、「類似性」というのがどういう中味なのかは不明である。目の大きさなのか、表情の融和さなのか、あるいは客観的な画像の類似度に近いものなのかは分からなかった。おそらく、日常語としての「類似度」がそのまま使われたものと思う。

 第2実験では
  1. 正しく組み合わされた犬と飼い主のペア20組(セットA)とペアを入れ替えた20組(セットB)のうち、どちらが正しい組み合わせか
  2. 犬と飼い主の類似度が高いのは、セットAとセットBのどちらか
という調査が、それぞれ別の判定者たちに実施され、1.では186名中115名が、2.では187名中124名が、いずれもAを選択したという。

 中島氏はさらに個別的な要因を種々検討したうえで、犬と飼い主は似ていることが日本でも確認されたこと、また、その原因は、「飼っているうちに似てくる」のではなくて「飼い主は似た犬を選んで飼育している」可能性が高いと推測しておられた。

 以上が私が理解した範囲であるが、なにぶん、元の論文を拝読していないので、正確にコメントすることは困難である。しかし、研究手法の手堅さと分析の精緻さで定評のある中島氏のご研究ということもあり、元の論文を拝見した上でツッコミが入れられる部分はあまりないのではないかと思われる。

 そのことを承知の上であえて、若干の感想を述べさせていただくと、まず、今回の実験は、とにかく、愛犬団体の集いに参加した方のお写真を基にしている点が若干気になるところである。こういう人たちは、かなり裕福であり、ファッションにも気を遣い、犬を飼い始める際にも、犬の種類についてかなり極端な好み(例えば、「トイプードルは好きだが雑種の柴犬はイヤだ」など)を持っているものと推測される。となると、犬の選び方はある種のファッションのようなものである。飼い主と犬の組み合わせを当てっこするというのは、ある意味では、飼い主とその好む服との組み合わせを当てるようなものではないか。であるとすると、そのタイプにはその時代の流行があり、当てっこする側にも共通の判断基準がうまれる。このことが正答率や、見かけの類似度を高めている可能性はないだろうか。

 ちなみに岡大構内でも犬を連れた人たちをたくさん見かけるが、ああいう人たちの大半は、近所や知り合いから子犬を貰って育てているのであって、おそらく飼い始める時に、いろいろな種類の中から特定の種類を選ぶというような選択肢は与えられていない。それでもなお、飼い主と犬は似ているようにも見えるが、この場合の類似度は、写真だけでは判定できないし、異質のものであるようにも思える。