じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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§§ 2009年版・岡山大学構内でお花見(9)ベニバスモモ

 後期入試が行われた3月12日、大学構内ではいくつかの樹木が花を開き始めた。写真は、本部棟近くにあるベニバスモモ。左下の案内板にもあるとおり、別名「アカバザクラ」ともいう。昨年の写真が2008年3月25日の日記にあり。今年のほうが開花が早く、卒業式まで咲いているかどうかは微妙。


03月12日(木)

【ちょっと思ったこと】

取材を申し込む時のABC

 少し前、某高校のサークルから、心理学の某テーマに関して取材をさせてほしいとの電話があった。高校のサークルがこの種の問題に取り組むのは大いに結構であり、できれば協力してあげたいと思っていたが、結局、事前の打ち合わせがうまくいかず、お流れとなった。これを機会に、取材を申し込む時にはどういうことに留意してほしいか、メモ代わりに記しておきたいと思う。




 まず電話で依頼をかける際のABCから。

 今回の申込みは、私の研究室宛ての電話という形で始まった。高校生のほうからまず名前と所属高校を名乗り、○○のテーマについて取材をさせてほしいということであり、ここまでの手順は丁寧であり言葉づかいも礼儀をわきまえていて結構であったが、そのあとがイケナイ。私が、「○○というテーマについて具体的にどういうことを知りたいのですか?」、「なぜ、私のところに取材を希望されるのですか?」、「そのテーマについてどの程度の知識を持っておられますか?」というような質問をしたところ、突然、無言状態になってしまう。一瞬電話が切れたのかと思ったが、念のため、電話口で数分ほど待っていると、ボソボソと答えが返ってくる。

 おそらく、サークルの部室に何人かが集まっている時に、交渉役を命じられた生徒が電話をかけてきているのであろう。私が何かを質問しても自分一人では答えられないので、質問の度に受話器の向こうでコショコショと「協議」をしているらしい。その際には、質問にどう答えるのかで頭がいっぱいになってしまって、電話口で待たされている人がいることまでは気が回らなくなってしまったのであろう。しかし、これは世間一般の常識だと思うが、何かを頼む場合、頼む相手を電話口で待たせるなどというのはゼッタイにあってはならない。やむを得ず、協議をする必要がある場合は、「私一人ではお答えできませんので、仲間と相談させていただき、後ほど再度お電話します。それでもよろしいでしょうか?」というように対応するべきであろう。協議が短時間で済む場合であっても、せめて、「すいません、周りの者と協議しますので、このままお待ちいただいてもよろしいでしょうか?」という程度のことわりを入れるべきである。質問したとたんに長時間無言というのでは、こちらはどうしてよいか分からない。これが一般社会人相手だったら、とうの昔に腹を立てて電話を切ってしまうところであった。




 最初の電話のさい、私のほうからは「電話だけでは、私の方でどういう準備をしてよいのか分かりませんので、もう少し具体的な取材計画を文書にして、メイルで送ってください。それと、対外的な部活動として行う以上は、顧問の先生の了解をちゃんととっておいてください。」というような要望をしておいたのだが、これがまたうまく理解されなかったようだ。

 その後、唐突に、「何度も電話しましたが通じませんのでメイルします。土曜日か日曜日に取材に行ってもよいですか」というようなメイルが届いたが、これもまた妙な話だ。まず、私の研究室の電話は、留守の場合、「まことに勝手ながら、ご連絡はすべて電子メイルにてお願いします」という応答メッセージが流れるようになっている。要するに、電話ではなくメイルで連絡してほしいと言っているのであって、「何度も電話しましたが」と言われても困る。今回に限らず、世間では、メイルによる連絡を嫌がり、何とかして電話だけで片付けようという方も少なくないようだが、モノを頼む場合にどういう手段を使うのかは、結局、依頼先の要望に合わせるしかない。相手方が電話派であれば電話で依頼すればよいし、メイル派であればメイルを送ればよい。私はメイル派なのだから、私にモノを頼む時には嫌でもメイルを送ってもらうほかはない。




 最終的なメイルは「今度の土日に取材に行くと言いましたが、うまく連絡がとれなかったこともあり、中止させていただきます。大変申し訳ありませんでした」というような内容であったが、うーむ、まだ私は土日がOKだと承諾したわけではない(ちなみに土日は休業日であり、大学の建物は施錠されていて勝手に入るわけにはいかない)。「うまく連絡がとれなかった」というのは「電話がうまく繋がらなかった」という意味らしいが、そのまえに、取材の計画書と、顧問の先生から承諾が得られたという連絡メイルを送るのがスジではないかなあ。

 おそらく、当の高校生は、「長谷川先生のところに取材を申し込んだが、電話連絡がうまくとれなかったのでボツになってしまった」という程度に原因帰属しているのだろうが、私に言わせれば、もう少し、モノを頼む時の手順とか、依頼先の人を電話口で待たせないための気遣いとか、相手の要望に合わせた対応、といったことを身につけてほしい。でないと、将来的に、別の人に別の依頼をかけたときにも同じように失敗し、最後は「世の中の人はみな、自分のことをちっとも構ってくれない」という人間不信の泥沼に陥ってしまうのではないかと危惧される。

 それから、これも念のため言っておくが、大学の研究室というのは観光案内所ではない。観光案内所であれば、予備知識無しで突然訪れても、来談者の希望に応じた観光地を懇切丁寧に案内してくれるだろうが、大学の研究室は、そのようなサービスを初心者向けに提供する場ではないのだ。もし、今後も、心理学の○○というテーマについて取材したいというサークルがあった場合、「○○というテーマ」について、私のWebサイトなどを通じて基本的なことを事前に学び、そのうえで論点を絞って質問にきてほしい。「何も分かりませんので教えてください」型の取材はゼッタイにお断りである。