じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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§§ 2009年版・岡山大学構内でお花見(2)菜の花
 3月に入って大学構内でいろいろな花が見られるようになった。写真はこのあたりで野生化している菜の花。青い点はオオイヌノフグリ。


03月02日(月)

【思ったこと】
_90302(月)[心理]複雑系としての「セラピー」(1)

 昨日の日記で、鞆の浦・仙酔島の江戸風呂の日帰り入浴のことを書いた。

 この温浴施設は、人生感が変わる宿「ここから」というホテルに併設されており、江戸風呂に日帰り入浴する時は、まず、このホテルのフロントに行かなければならない。

 ネット上の旅行記の中には、「人生観が変わる」などという看板からカルト宗教団体の施設ではないかと敬遠したというような記述もあるが、看板をよく見ると、変わるのは「人生観」ではなく「人生感」であることに気づく。ちなみに、このホテルや温浴施設を経営しているのは感謝グループというグループ企業であり、岡山空港近くの温浴施設「レスパール藤ヶ鳴」(じゃらんにアルバムあり)もその一員となっている。会社全体については詳しいことは判らないが、経営不振に陥った施設を買い取り、ユニークな企画でリピーターの利用者を増やして再建をはかることを得意としているという印象を受けている。




 さて、元の話題の江戸風呂であるが、御本家のサイトによれば、このお風呂は、
  1. 洞窟蒸し風呂3種(海藻・ヨモギ・ビワ)
  2. 母親の胎内風呂(高濃度塩水風呂)
  3. 世界一の露天風呂(瀬戸内海)
  4. 砂浜(電磁波アース)
  5. 薬草風呂
から構成されており、決められた順番で入っていくと、「体内の毒素を汗と一緒に出す効率のよいデトックス効果を体感していただけます。」と宣伝されている。

 ちなみに、温泉好きの私ではあるが、ここの温浴施設に限らず、この種の効能書きを信じたことは一度も無い(←上記の「デトックス」については、ウィキペディアの当該項目にも「...ゆえに、科学的根拠に乏しい、いわゆる疑似科学を用いたものも数多く存在する。」という批判的記述あり)。

 もっとも、だからといって、各種の温泉・温浴施設を楽しむことには健康増進効果が無い、ということにはならない。この種のリラックス効果というのは、お風呂に入るという1回限りの効能によるものではなく、温泉旅行全体の複合的な作用として意味を持ってくるのである。それゆえ、例えば、観光客を温浴群(実験群)と非温浴群(統制群)にランダムに割り付けて、各種の生理的指標を比較するというような実験的方法で効果検証をすることは不可能であり、仮に有意差が出たからといって、その結果自体から確認される「効能」は、全体的な効能のごく一部に言及したにすぎない可能性が高い。

 ちょうど、春休み期間を利用して、複雑系としての「セラピー」の効果検証問題についての資料を集めているところでもあり、これを機会に、不定期連載で最近の考えをいくつか述べてみたいと思う。

 次回に続く。