じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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§§ 2008年版・岡山大学構内の紅葉(25)2日連続の氷点下

 気象庁のデータが示すように、岡山では12月7日にマイナス2.1度、12月8日にマイナス0.5度というように2日連続で氷点下の最低気温を記録した。また、最高気温は12月6日から8日まで3日連続で10度を下回った。

 前年12月は、一度も氷点下の記録が無く、また、最高気温は12月22日、30日、31日の3日を除いてすべて10度以上となっており、今年はかなり早くから寒くなっていることが分かる。

 写真は時計台前のアメリカフウ(モミジバフウ)の落ち葉。霜で白っぽくなっている。


12月08日(月)

【ちょっと思ったこと】

電子タバコ登場/最近の喫煙論議

 12月9日付けの朝日新聞(大阪本社)に、電子たばこ「タエコ」で一服いかが 「禁煙が楽に」という記事があった。
最大の特徴は徹底した「吸い込み感」の再現。長さ、細さともたばことほぼ同じ形。吸うと電源が入り、LEDがまるで火がついたかのように赤く光る。また筒に内蔵した電熱線で水蒸気を発生させ、吸い口からはたばこの煙のような紫煙が立ち上る。
ということだが、喫煙者というのは、こんな装置まで使わないと禁煙できないのだろうか。お気の毒である。

 記事には「喫煙禁止場所でも楽しめることで、愛煙家にも評判になっている。」とも書かれていたが、ホンモノのタバコと紛らわしい煙を燻らせていれば、何も知らない人たちからは、「あいつは禁煙場所でタバコを吸う不心得者だ」という冷たい目で見られるだけではないかと思う。

 余談だが、12月9日のNHKオンラインによれば、 NHKの世論調査で、来年度の税制改正の焦点の1つとなっているたばこ税の引き上げについて、賛否を聞いたところ、「賛成」と答えた人が48%だったのに対し、「反対」と答えた人は23%であったという。私はもちろん大賛成であり、1箱1000円でも1万円でも、どんどん引き上げていったらいいと思う。

 但しその目的は財源の確保ではなく、あくまで喫煙行動の抑制にある。タバコは百害あって一利無しで、喫煙者や喫煙量を少しでも減らすためには、彼らの人権には配慮しつつも、可能なあらゆる手段を講じるべきであると思う。

 これも余談だが、テレビニュースで流される映像を見ている限りでは、某与党の各種会合のテーブルの上には、決まって灰皿が置かれているのだろうか。公的であれ私的であれ、とにかく人の集まる場所でタバコを吸うような政治家は、いかに高邁な政策を掲げていたとしても私はゼッタイに支持しない。
 あと、先日、NHKで宮崎駿さんの「ポニョ制作」を取り上げている特集番組を視たが、あの宮崎さんが人前でタバコを吸っていたのはまことに残念であった。ご自身の仕事場を訪れたインタビュー時の喫煙であり、「自宅に押しかけてきた上に、タバコを吸うなとは何事だ」という論理も成り立つかもしれないが、本来、自宅であろうと公共の場であろうと、人前でタバコを吸うこと自体は慎むべきであろうと思う。但し、聞き手の茂木健一郎氏と住吉美紀氏、あるいは撮影スタッフが全員喫煙容認者であったのかどうかは不明。

【思ったこと】
_81208(月)[心理]日本心理学会第72回大会(60)因果帰納推論と随伴性学習(4)

 漆原氏の話題提供では、人間の因果推論においても、ブロッキング同様の現象が起こるという実験研究がいくつか紹介された(主としてBeckersらの一連の研究)。このほか、AとX(昨日と同じ使い方)の強さ、複合提示した場合と単独提示した場合の結果の差違などの違いによって、AやXを原因とみなすかどうかについての程度・有無に差が生じるということも紹介された。

 ところで、昨日の日記では、
Aを太郎君、Xを次郎君であるとし、1人または2人でジャガイモの皮むき作業をしたと仮定する(もとの話題提供内容を長谷川が改変)。USは1時間あたりに皮を剥いた個数である。太郎くんが1人で作業した時に100個の皮を剥き、そのあとで太郎くんと次郎くんが一緒に皮剥きをしたが、2人合わせて剥いたジャガイモの個数は100個であってちっとも変わらないとする【←所要時間も同じであるとする】。そうすると、次郎君は何も働いていないと推論されてしまう。
と書いたが、漆原氏のお話によれば、人間の場合は、いつもそんなに単純というわけではない。このあたりはクリティカルシンキングの話題にもなりそうだが、例えば、
  1. もともとジャガイモが100個しか無かったら、それ以上の個数を剥くことはできない。
  2. 皮むき器が1個しかなかったら、2人で交代で使うほかはないので、生産性は必ずしも上がらない。
といった可能性もありうる。

 いずれにせよ、もともと原因というのは、常に独立的、加算的に作用するわけではない。因果推論では、そうした高度な判断が働く場合もあるようだ。

 漆原氏の話題提供の後半では、ラットを被験体とし、床からの電気ショックをUS、クリッカーとトーンという2つの音刺激をCS(今回の枠組みで言えば、AとX)、恐怖の大きさを水飲みの潜時で測るという実験研究が紹介されたが、「印刷中」の論文紹介ということだったのでここでは詳細なコメントは控えさせていただく。余談だが、AやXが味覚刺激や嗅覚刺激、USが催吐作用を伴うような不快刺激である場合のブロッキングの有無については、私自身もかつて実験に取り組んだことがあった。

 レスコーラ・ワグナーのモデルというのはもともとパヴロフ型条件づけ(古典的条件づけ)の枠組みの中で提唱されたものであったが、因果推論というのは、そのような条件づけの強さではなくて、むしろ、手がかりとしての情報的価値に関連しているように思う。動物の学習実験をするなら、むしろオペラント条件づけ場面で、弁別刺激の複合的な効果を調べていったほうがよいという気もするのだが、最近はこの分野からすっかり遠ざかっているため、その後の発展について詳しいことは分からない。

次回に続く。