じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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§§ 2008年版・岡山大学構内の紅葉(21)ナンキンハゼの紅葉と旧事務局棟

ナンキンハゼの白い実と紅葉が見頃となってきた。背景は、岡山大学旧事務局棟(陸軍第十七師団・歩兵第三十三旅団司令部庁舎)。

余談だが、左端の駐車禁止の標識は少々景観を損ねている。もともと、岡大キャンパスでは指定エリア以外の駐車は禁止されており、違反すると巡視員によってパーキングロックがかけられる。このことは周知されているはずなので、無用な標識は撤去したほうがよいのではないだろうか。


12月03日(水)

【思ったこと】
_81203(水)[心理]日本心理学会第72回大会(55)環境配慮行動をおびやかす10匹の怪物(7)

 引き続き、ギフォード氏が列挙した10匹の怪物:
  1. 不確実性(Uncertainty)
  2. 環境に対する無関心(Einvironmental Numbness)
  3. 行動統制感の欠如(Lack of Perceived Behavioral Control)
  4. 否認(Denial)
  5. 相容れない目標と願望(Conflicting Goals and Asperations)
  6. 社会的規範、公平さ、公正感が感じられないこと(Social Norms, Equity, and Felt Justice)
  7. 心理的反発(Reactance)
  8. コミュニティへのアイデンティティの欠如(Lack of Identification with Ones's Community)
  9. 見せかけばかりのまがい物(Tokenism)
  10. 習慣(Habit)
について、感想と意見。

 6.の「社会的規範、公平さ、そして公正感が感じられないこと(Social Norms, Equity, and Felt Justice)」についても、一般論として言っているのか、環境配慮行動に特徴的な問題があるのか、よく分からないところがあった。趣旨としては、「正しいことをする」ことがイコール「普段通りのこと」になっていないという問題点であったようだ。

 例によって少々脱線して、一般論として感想を述べるが、今の世の中では、モラル、信頼、思いやりを学校教育だけに頼って身につけさせていくということは非常に困難であると思う。仮に道徳の時間に最高点を取ったとしても、その優等生が社会に出て道徳的に振るまい、他者を思いやることになるという保証は全くない。

 その一因は、現代社会において、他者を騙して金を儲けようとする人たち(=振り込め詐欺、ネット上の詐欺)、他者に配慮せず自己の利益のみを追求しようとする人たち(=SPAMメイル発信者、空売りなどの種々のテクニックを使って株取引、外国為替、商品先物などで儲けようとしている人)が明らかに存在し、それらから身を守らなければ生きて行かれないということにあると思う。実際、私のアドレスに送信されてくるメイルなどを見ても、95%以上は傍若無人な迷惑メイルである(←実際には自動削除しているので迷惑ではないメイルも含まれているかもしれないが)。また、時たま、SPAM排除フィルターをくぐり抜けて受信されるメイルもあり、私のアドレスを詐称して送りつけてくるものもある。こういうヤツらはどうみても悪人であり詐欺師、ペテン師である。また、人格高邁と評されている人であっても、路上で歩行喫煙したり、車の窓から吸い殻を平気でポイ捨てすることがある。こういう状況に日常的に接していると、「社会的規範、公平さ、そして公正感が感じられないこと」など当たり前ではないかという気もしてくる。

 じゃあ、世の中はそんなに悲観的なものなのかということになるが、行動分析学的な発想に立てば、もう少し違った見方もできないわけでもない。要するに、世の中には善人も悪人も居ない。すべての(オペラント)行動は、何らかの行動随伴性によって強化、弱化されているのである。SPAMメイルも吸い殻ポイ捨てが無くすためには、それを強化している行動随伴性を排除するか、もしくは、それらの行動を撲滅するための弱化の随伴性を設定しなければならない。もっとも、この考え方に立てば、冒頭の「社会的規範、公平さ、そして公正感が感じられないこと」というのは不正確で改善困難な言明にすぎず、これを具体的で実現可能な状態に引き写すためには、「社会的規範、公平さ、そして公正を維持するための新たな行動随伴性」を追求していくほかはないということになる。

次回に続く。