じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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§§ 2008年版・岡山大学構内の紅葉(14)赤い楷の木

 11月12日は真っ青な秋晴れの空のもと、絶好の紅葉見物日和となった。幸いなことに、私の場合、わざわざどこかへ出かけなくても、出勤や昼食をとりに家まで往復する途中で、十分すぎるほどに堪能できる。写真は、12日の朝8時台(写真上)と昼12時台(写真下)に撮った農学部前の楷の木。色合いは朝のほうが良さそうだが、黄色い楷の木(下の写真の右後ろ)のほうは朝はまだ陽が当たっていないので、ツーショットを撮るのであれば昼のほうが適していることが分かった。

 なお、これを機会にじゃらんのおでかけガイドのほうに「岡山大学で紅葉見物」というアルバムサイトを開設した。数日以内に、過去数年間の写真を20枚まで登録する予定。

 また、この日記や「楽天版じぶん更新日記」に掲載した大サイズの紅葉の写真は、順不同で楽天フォトのほうに順次追加している。併せてご覧頂ければ幸いです(サムネイルをクリックし、さらにそこで表示された写真をクリックすると大画像になります。長谷川が撮影した写真は登録者が「hasep2004」となっています)。


11月12日(水)

【思ったこと】
_81112(水)[心理]日本心理学会第72回大会(40)well-beingを目指す社会心理学の役割と課題(10)航空機事故遺族の“well-being”(1)

 今回のシンポではもう1件、安藤清志氏による

航空機事故遺族の“well-being”

という話題提供があった。航空機事故は、あってはならないことだが、万が一起こってしまった時の遺族の悲しみは想像に絶するものであろう。そういうレアな事態を心理学の立場から正確に把握し、また、御遺族の体験からできるだけ多くのことを学び、“well-being”を見つめ直すことは大いに意義があると思う。

 なお、安藤氏の御講演は2005年大会の話題提供(但し、認定心理士会の研修プログラムとして企画されたもの)でも拝聴したことがあり、その後のご発展の様子をうかがい知ることができた。

 ということもあって、まず、2005年大会の時のメモを再掲しておく。
この種の事故は、まず悲惨な破壊状況(当人の遺体の損傷、他の犠牲者の遺体まで)を目の当たりにするという点で衝撃が大きい。その光景やニオイは何年経っても忘れられることができないという。このほか、「喪失の多重性」(当人を失うほか、グループ旅行の場合は複数の知人を失ったり、一家の大黒柱という経済的基盤を喪失するなど)、「回避可能性の認知」(「こういうことがしっかりできていれば事故は防げたはず」といった怒り)、「裁判の長期化」、「死の意味づけの困難」など、病死や老衰と異なるさまざまな心理的苦痛が持続してしまう。それぞれにどう対処していくのかが課題となる。直後のサポート、さらには長期にわたる持続的なサポートが求められる。

 遺族の立ち直りにおいては「遺志の社会化」も重要。要するに故人が目指していたことを引き継いで実現させていくこと、そうすれば、その過程で故人も生き長らえることになる。また、トラウマ後のポジティブな面として、「生の意義の認識」や「人間的成長」を挙げる人もいたという。
 今回はさらに3年が経過したことになるが、2008年にすべての損害賠償裁判(中華航空、エアバス社)が終了したという点が大きな変化として挙げられる。これにより、裁判への影響を気兼ねせずに調査を進めたり結果を公開することができるようになってきた。また、事故発生の1994年以降15年近くに及ぶ長期の流れの中で、、一部の遺族においては、「トラウマ後の成長」や「社会の変容を目ざす活動」が見られ、このことがwell-beingに関連づけられるということであった。このほか、こうした遺族の回復・成長を支えるメディアの役割という観点から「ジャーナリストのストレス」についても言及があった。


 次回に続く。