じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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§§ 人生を象徴するヒマワリ?
コスモスの花に囲まれて1本だけ咲いているヒマワリと、かつてのヒマワリ畑の中で1本だけ残っているヒマワリ。なんとなく、人生を象徴しているような風景である。


11月07日(金)

【ちょっと思ったこと】

墓地が多い岡山県

 少し前の記事になるが11月3日の朝日新聞「なんでもランキング」に、墓地の数のランキングというのが掲載されていた。それによれば、第1位はなっなんと岡山県で、10万7726箇所(厚労省まとめ、2007年末現在)、以下、島根県の9万5898箇所、長野県の8万3528箇所などとなっていた。

 ちなみに、ここでいう墓所には、個人墓地も含まれている。日本では、人が死んだ時、その遺体や骨を好き勝手な場所に埋めることはできない。このルールは各都道府県の条例で定められており、原則としては自治体設置や法人運営の墓地に埋葬することが義務づけられているらしい。しかし、そのような墓地が近くにない場合は、「面積20平米以下」とか「自分や親族の埋葬に限る」という条件つきで個人墓地への埋葬が認められるらしい。

 そう言えば、岡山のローカル放送では、墓所工事業者のCMが流れることがあり、墓所を作るなどというのは一生に一度くらいしか無いのに、ああいう宣伝をしても効果があるのだろうかと思っていたが、10万7726箇所もの墓所がある岡山県内に限って言えば、改修工事などのニーズはそれなりに見込めるので、テレビで宣伝をすればそれなりの注文が増えるという可能性は十分にあると言ってよいかもしれない。

 ではなぜ、岡山がトップなのか。中国・四国、あるいは瀬戸内の何らかのローカルな文化を反映しているのかと思ったが、データの上では疑問が残る。上にも引用したが第二位が島根県の9万5898箇所、さらに、第四位に広島県がランクされていることから中国地方の特徴かと思いきや、鳥取県はそれほど多くはなく、また山口県は3505箇所、第40位ときわめて少ない。瀬戸内圏でみても、香川県は2654箇所、第42位であって、これまた最下位に近い。

 後付け、こじつけの理由はいくつか思いつくが、どうも決め手にかける。

【思ったこと】
_81107(金)[心理]日本心理学会第72回大会(35)well-beingを目指す社会心理学の役割と課題(7)コヒアラント・アプローチによる主観的Well-Beingの個人差の探求(6)質問紙でどこまで分かるか?

 堀毛氏の話題提供では、主観的充実感についてご自身の手で調査・分析された結果についての紹介もあった。但し、その結果は、別の学会(2008年11月15〜16日)で発表後予定のものであり、今回はまだ予告というような内容であったので、ここではその内容についてのコメントは控えさせていただく。

 あくまで一般論になるが、私自身は、この種の研究を質問紙調査に依拠して行うことについては以前からかなり懐疑的な見方をしている。

 まず、充実感についていくつかの質問をすれば個人間で何らかの得点の差が出てくるとは思うが、それが主として「ポジティブな充実」の程度の差を反映したものなのか、「充実していないというネガティブな程度」を反映したものなのかを精査する必要があるだろう。一般論として、Well-Beingとか満足度についての量的な研究では、マイナス部分が大きく影響しやすく、実際に調べているのは、「Well-Beingではなくて、Ill-Being」であったり、「SatisfactionではなくてDissatisfaction」の程度の差であったりする可能性が大いにありうる。しかし、2003年2月15日の日記でも述べたように、阻害要因やマイナス要因を取り除いたというだけでその人がポジティブになるわけではない。このことについては、今回の指定討論者のお一人の大竹恵子も、ポジティブ心理学の立場から御指摘をしておられた。

 質問紙調査の2番目の問題点は、個々の質問の中で、ある「充実」対象についての短期的、長期的な評価、あるいは、そうした対象の充実が単発的に得られるのか、それとも長期的な連関や手段・目的、相互強化的な中で少しずつ増していくものであるのかという見極めがつけられるのかという点である。コヒアラント・アプローチというのはおそらくそういう長期的な連関について、いくつかのタイプがあることを明らかにしようとしているのであろうが、一般化、抽象化していけばしていくほど、生身の人間が具体的に関わっている内容が見えなくなってしまうようにも思える。

 例えば、人間植物関係学会や(まもなく第1回大会が開催される予定の)園芸療法学会などでは、植物と関わることによるWell-Beingについて具体的な課題が検討されることになるが、今回紹介されていたようなアプローチから、「こうすれば充実感が得られます」というような具体的なオススメ情報が出てくるのかどうかは不明である。


 次回に続く。