じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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岡山大学構内でお花見(53)講義棟前の白花エンゼルトランペット(キダチチョウセンアサガオ)。数年以上前からこの場所に生えているが、今年は例年になく大株に育ち、なんと50輪以上の花を一斉に咲かせている。大株に育ったのは、昨冬、積雪や降霜によるダメージが少なく地上部分が残っていたのと、固形の化成肥料を与えていたためではないかと思われる。



9月26日(金)

【思ったこと】
_80926(金)[心理]五木寛之さん「凍河の時代を遊行する」(1)

 妻の実家で朝食後にテレビを視ていたら、NHK「この人にトキメキっ!」という生放送番組が始まった。この日のご出演は有名な五木寛之氏であったので、メモをとりながら拝聴した。ふだんなら出勤後の時間帯であり、先日の学会出張の振替休日をとっていなければ決して視られない生放送であった。まことにラッキー。

 周知のように、五木寛之さんはこれまで500冊以上の御著書を著し、その中には200万部以上発行のベストセラーも含まれている。過去の作品の中には、最近ふたたびよく売れるようになった本もある。装丁のかなりの部分は、もともと精神科の医者で、現在は画家として知られる奥さんの作品でもある。

 このほかNHKラジオの深夜便の長期ご出演やギネス公認の連載8000回記録などの継続性でも知られている。日常生活も比較的規則的であるらしい。




 書物の生産性という点では私など足下にも及ばないが、書くこと、継続性、規則的な日課という点では、私自身の生活スタイルもある程度共通しているように見えた。しかし、お話を詳しく伺っていると、やはり、私にはとうてい真似ができないことが分かった。

 まず、書くという点だが、五木さんは、すべて手書きで原稿を書いておられる(パソコンは一切使わない)点で私にはとうてい真似ができない。私などは、考えながら言葉を並べ、それを入れ替えたり順序を変えたりして修正していくので、紙の上では何も文章が出てこない。五木さんの場合「書く」というのは写すだけの作業であり、基本的な文章そのものは頭のなかですでにできあがっているようであった。

 第2の継続性という点だが、このWeb日記のように比較的継続しているケースでもせいぜい4000回程度。連載8000回にはとうてい及ばない。

 第3の生活の規則性に関しては、五木さんはおおむね午後1時半頃に起床し、午後から夜にかけては出版社などとの打ち合わせや連載執筆、ラジオ出演にあて、夜中の12時を過ぎてから翌朝5時半頃までを執筆にあてるということであった。これもまた、私にはとうてい真似ができない。というか、私の場合は、起床時刻が早朝5時頃、そして21時前には寝てしまうので、同じ日本時間にあっても生活スタイルは正反対ということになる。もっとも夜間勤務の方を除けば、午後1時半まで睡眠をとるというのは、大多数の一般社会人では勤務の制約上ほとんど不可能であろう。




 五木さんの作家としてのテーマは仏教であり、現在は、人間・親鸞を描く作品に取り組んでおられる。なぜ親鸞かというと、「無風状態では帆を張っても走らない。」という他力の考えに惹かれるからであり、番組ではそのことに関連して「風に吹かれて 今の時代」という言葉も出てきた。私自身は仏教のことは全く素人であり「他力」の本質については十分理解できていないところがある。ただし、決して受け身的、あるいは他者の力に依存した生き方ということではなく、むしろ、「他力」を前提としてこそ能動的で主体的な生き方ができるというような話を以前に聞いたことがあった。この発想は、行動随伴性を「風」に見立てた行動分析学的な人間観にも共通するところがある。そういえば、かつて、東正氏も「風」という言葉を使っておられた。


 次回に続く。