じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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岡山大学構内のお花見(13)葉ボタンの花と時計台

 葉ボタンは、花の少ないお正月の頃にキレイな葉っぱを鑑賞する植物として知られているが、この時期の花もなかなか趣がある。


4月28日(月)

【思ったこと】
_80428(月)[心理]ダイバージョナルセラピー研修会(6)マルチセンサリールーム

 研修期間中に、「ダイバージョナルセラピー推進」を標榜している高齢者施設を見学する機会があった。

 その1つは、4月25日の日記にも紹介したマルチセンサリールーム(Relaxation via Multi-Sensory Room)、もう1つはケアガーデンであった。

 これらの設備は2001年のオーストラリア研修の際にも、DTの本場オーストラリアでも実際に見学したことがあった。

 マルチセンサリールームというのは要するに五感(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)を刺激するリラクセーション設備であり、認知症ケアに効果があるとされている。オーストラリアで見学したルームは10人くらいが入れるかなり規模の大きいもので、
  • 視覚:動きのあるカラフルなCG画像(私の世代から見れば、かなりサイケ調)の投影/カラフルに変色する光ファイバー
  • 聴覚:たぶんリラクセーション用だと思ったが、私の感覚では、精神高揚型に聞こえた
  • 嗅覚:ハーブの香り
  • 味覚:いろいろな味の飴を舐める
  • 触覚:ザラザラとした感触、温感など
といった工夫が施されていた。今回見学したものは1〜2人用の小規模なものであったが、ほぼ似たような仕掛けが施されていた。




 この種の設備は、レスポンデント型の癒し空間の1つとして、あるいは非日常的な感覚刺激体験の場として何らかの効果をもたらすとは思うが、私自身は「環境への能動的な働きかけを強化する」というオペラント型の生きがい(いわゆる「ドーパミン」タイプ)をテーマとしていることもあり、実証データについての情報を持ち合わせていない。

 いずれにせよ、一定時間をセンサリールームで過ごすこと自体の効用よりも、利用者がそのような体験を希望するかどうか、またそのような希望が出た場合に、どのようにプランニングするかどうか、つまり全人的な生活支援プログラムの中にどう体系的に位置づけていくのかということのほうが大切な課題となるとは思う。

 また、これは前にも描いたが、何もオーストラリア直輸入のセンサリールームを設置しなくてもよいのではないかと思う。音楽や映像は利用者の好みに合わせて変える必要があり、そのための事前と事後の評価が求められる。例えば聴覚に関しては、西洋人はダメだが日本人には好まれるとされる秋の虫の声などを入れてもよいし、NHKラジオで放送されている「音の風景」を加えるのも一案。画像のほうも、田園風景をアレンジしたものがあってもよいのではないかと思う。

 それから、以前、スイスのホテルに泊まった時に体験したことがあったが、サウナ風呂や蒸し風呂の中にあのような仕掛けを入れると、単にお風呂に入る時に比べていっそう、リラクセーション効果が増すことがあるように思える。というか、露天風呂などは、もともとそういう目的で設計されたものとも言える。高齢者施設で、高温のサウナや蒸し風呂を設置することは健康上問題が多いかもしれないが、低温のミスト風呂ならば大いに結構であるし、お湯型のお風呂よりも介助者の物理的負担が少なくて済む可能性がある。

 次回に続く。