じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 昨日に続き、耐震補強工事竣工直前の岡山大学時計塔(中央図書館)の写真。ソメイヨシノと時計塔とのツーショットは、これから先、数十年の間、毎年眺めることができると思われるが、「足場付き」時計塔が見られるのは、私の在職期間中としてはこれが最初で最後になるはずだ。



4月6日(日)

【ちょっと思ったこと】

回転寿司屋は、開店・閉店の回転も速い

 日曜日の夕刻、馴染みの回転寿司屋を訪れようとしてあっと驚く。なっなんと、看板が掛け替えられていて、別の寿司屋になっていたのである。そういえば最近、この寿司屋からの優待葉書が届かなくなっていた。閉店の挨拶は無かったようだが、いつから変わっていたのだろうか。

 今回に限らず、岡山市内では、回転寿司屋の開店、閉店がけっこう多くように思われる。ラーメン屋や、一般のレストランでも同じ程度の変化があるので、ことさら回転寿司屋だけの特徴とは言えないかもしれないが...貯まっていたポイントはどうしてくれるのだ?

【思ったこと】
_80406(日)[心理]「しなければならないことをする」と「したいことをする」(13)負の強化にもとづくポジティブな人生の実現(4)

 昨日の続き。

 Malott(2005)も述べているように、我々の日常生活行動においては、形式上は「好子出現」であるように見えて、実際は、「好子消失阻止」もしくは「嫌子出現阻止」によって維持・強化されている行動がきわめて多い。

 例えば、壁にぶつからずにドアから出るというのは、「ドアの方向に向かって歩く→外に出る(別の強化機会に移動)」という好子出現随伴性で強化されているように見えるが、実際は、「壁にぶつかる→痛い!」という嫌子出現を回避するように歩いている。車の運転の場合も、「注意深く安全走行する→目的地到達(別の強化機会に移動)」という好子出現随伴性で強化されているように見えて、実際は、「安全走行→悲惨な事故を回避」という嫌子出現阻止の随伴性が働いているというのが、マロットの主張である。

 もっとも、3月13日の日記ですでに論じたように、弁別行動の多くは、形式上は
  • 適確に弁別する→好子出現
  • 弁別に失敗→好子消失、もしくは嫌子出現
というように、複合的な随伴性から構成されており、いくらでも例を挙げることができる。例えば、

●A君は、JR線を利用してお茶の水駅から渋谷駅に移動し、18時30分に、Bさんとハチ公前で出会ってデートした。

という行動は通常は、「JR線を乗り継ぐ」、「時間を守る」といった弁別行動から構成され、好子出現により強化されていると考えるが、上記の形式を持ち出せば、
  • A君は、JR線のホームから転落しないように、ホームの中よりを注意深く歩いた。(嫌子出現阻止の随伴性)
  • A君は、遅刻してBさんから嫌われることが無いように、早めに出発し、約束時間より早めにハチ公前に到着した(好子消失阻止の随伴性)
というように、いくらでも嫌悪的統制を加えることができる。しかし、そのことが、行動の予測や制御の上で有用な情報を付加しているかどうかは何とも言えない。

 上記の車の安全運転の例の場合でも、確かに路上で注意を怠れば、悲惨な事故という嫌子出現に見舞われる恐れはある。しかしシミュレーション教習や、TVゲームの1つとしてドライビングゲームに興じている限りでは、ミスを犯しても大けがや死亡事故が出現するわけではない。にも関わらず、自動車教習所でのシミュレーション練習は運転スキルの向上に大いに役立っているのである。




 以上の議論からも分かるように、マロットの主張は、日常生活全般の行動をよりよく説明するものでは必ずしもない。しかし、先延ばしが起こりやすい原因を分析し、

●「先延ばし」という支障を効果的に改善するために適切な締切を設定し、嫌悪的統制を導入する

というニーズのもとでは、きわめて有用な方策である、と見なすことができるだろう。

 次回に続く。