じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 写真上は東大・駒場構内で見つけた地域猫。右側の黒と黄色のまだらの猫は、岡山でもたまに見かける。サバトラ系の母親とキジトラ系の父親から生まれるのではないかと推測しているが不確実。写真下はその2日前に撮った岡大の猫。


3月17日(月)

【思ったこと】
_80317(月)[心理]第13回人間行動分析研究会(3)

 昨日の続き。話題提供1番目の

●遅延による報酬の価値割引からみた子どものセルフコントロールと衝動性

という実験研究は、実験デザインとしてはしっかりしており、卒論研究や修論研究の水準は十分に満たしていると思った。但し昨日も述べたように、年齢間の比較というのはなかなか難しい。発達心理学研究ではしばしば指摘されることだが、年齢間で比較すれば必ずなにがしかの差が出るが、年齢間の群間比較は無作為の割り付けができないので、それがどういう原因に依拠するものかを特定することはできない。何でも「発達の差」と言ってしまえばそれまでなのだが、なぜそのように変化していったのかというプロセスの特定が求められる。

 4歳児と6歳児を比較した場合、素朴には4歳児のほうが「衝動的な」傾向が強いと思われているのでそれを実験的に確認しても意外性が少ない。逆に6歳児のほうが「衝動的な」傾向が強いという結果になれば意外性が高まるが、そのような実験では「4歳児では“強化子”に関心を持っていなかったのでは?」という疑問も出てくるだろう。

 行動分析学的なアプローチとしては、「衝動的な選択」というのは単なる成熟過程なのか、でないとするならばどういう経験を積むことが「じっくり待って多量の結果を得る」選択を促進するのか、そのプロセスを明らかにすることにあるのではないかと思う。

 次回に続く。