じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 岡大西門横の座主川で休息するアオサギ。首を縮めているのでゴイサギのようにも見えるが、羽根の模様や大きさから見てアオサギであろうとと思う。秋から翌年春までは、用水の水深が浅くなることや他所の餌が少ないこともあり、用水路一帯には、各種サギ類が集まり、一晩中、小魚などの餌をあさっている。



12月20日(木)

【思ったこと】
_71220(木)[教育]学士教育課程のコンセプト(14)メジャー制導入と自発的学修者の育成(1)

 今回の研修の最後の講演は、リベラルアーツ・カレッジとして伝統があり、各方面から高い評価を受けている某大学が最近行った一大改革について、その背景や意義を紹介するという内容であった。
 当該大学は過去50年以上にわたり一貫してリベラルアーツ教育を標榜しており、また、日本語と英語を公用語とするバイリンガル大学としても知られている。このほか少人数教育、学問分野を超えた知識の探究、自立的学修といった点で実績をあげてきた。そうした伝統を守りつつ、来春に向けて、大規模な教学改革を実施することになった。

 この講演を拝聴する前にわたしがいだいていたのは、

●これまでの伝統が成果をあげているのに、なぜここへ来て抜本的とも言える改革を断行する必要があったのか?

という素朴な疑問であった。

 この点に関しては、まずとにかく、基本理念は何ら変わるものではないこと、「学科」から「メジャー」に変更することで、広い領域の中から「シングルメジャー」、「ダブルメジャー」、「メジャー + マイナー」という3タイプの進路を選択できるようにしたことが、改革の趣旨であるというように理解できた。

 ちなみに、私の大学でも、こちらのパンフにある通り、ある学部の学生が、異なる学部の所定の科目群を体系的に履修することで副専攻の学修認定をうけることができるようになっている。但しこれは、まずは、入学当初から所属学部の主専攻を一定水準以上の優秀な成績できっちり学修しておくことが大前提であり、入学後にいろいろ学んだ上でから主専攻を決めるという方式とは根本的に異なっている。また、今回紹介のあった大学では、「ダブルメジャー」や「メジャー + マイナー」といった選択をするにあたっては、学生主体のアカデミックプランニングやアドヴァイザー制度といった学修者の支援体制が充実しているが、私のところでは、学生があくまで自主的に副専攻科目を履修するようになっており、(私のところの文学部の場合)指導教員の支援内容は主として成績不振や長期欠席といったネガティブな事態へのサポートに限られているように見える。




 当該大学の教学改革に関してちょっと気がかりであったのは、
  1. 入学後にメジャーやマイナーを選択させた場合、特定の学問領域に希望者が集中するということはないのか。
  2. 「メジャー」の認定要件は、一般の総合大学における1つの専攻の卒業要件に比べて少なすぎるということは無いか。また、もし同じ程度の単位数を要件にしているとなると、ダブルメジャーを満たすには、かなりの単位数を揃える必要が出てくるが、このことによって1つの授業のための予復習の時間が不足するようなことはないか。
といった点であった。

 このうち1に関しては、いわゆる「進路振り分け」のような措置はとっていないということであった。つまり、平均点が悪いというだけで第二希望のメジャーに回されるというようなことは無い、但し、それぞれのメジャーが指定した基礎的科目を履修できていないと、結果的に選択できないというケースはありうるということであった。

 このあたりの部分は、学部単位で一括して入学者を受け入れ2年次に5つの専修コースに分かれるというシステムをとっている私の学部にとっても大きな関心事である。

 2に関しても、当該大学の学問領域の範囲では、何とかうまくやりくりできているようであった。但しこれがうまくいくのは、おそらく「リベラルアーツ」の範疇に含まれる学問領域に限ってのことであろう。カリキュラムが過密な医歯薬系や工学系では、そう簡単にダブルメジャーをとるわけにはいくまい。それよりも、学士入学の形でそれぞれのメジャーをみっちり学修するか、関連領域の大学院に入学したあとで学部専門科目を聴講して不足部分を補うという形で、実質的なダブルメジャーを修得していくほうが、時間割のやりくりなどで支障がでる恐れは少ないように思う。


 次回に続く。