じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 岡山大学構内の紅葉情報の第24回目(2007年12月13日)は、時計台前の「落ちないアメリカフウ」。昨年の写真はこちらにある。



12月13日(木)

【ちょっと思ったこと】

ホームズ彗星42回目

 12月13日の夕食後、双眼鏡でホームズ彗星とアンドロメダ銀河を久しぶりに見比べることができた。通算42回目。前回と比べると、ホームズ彗星はさらに減光しており、アンドロメダ銀河より数段暗く、何かそこにあるなあという程度であった。

 12月14日の早朝は、ペルセウス座自体が半田山スレスレで見えにくくなっていた。散歩中、ふたご座流星群の流れ星を目撃することはできなかった。

【思ったこと】
_71213(木)[心理]学士教育課程のコンセプト(7)「クリッカー」の威力(2)挙手やプラカード型授業と比べたメリット

 昨日の日記でも述べたように、「クリッカー」というのは、テレビのリモコン型のキーパッドであり、毎回の授業開始時に受講生に配布される。演者の授業では、
  • 教員は、パワーポイントスライドを使いながら、時々、四択などのクイズ問題を出す。
  • 制限時間内に受講生はが一斉にボタンで回答する
  • 選択肢別の回答比率がパワーポイント画面にグラフで表示される。
  • その後、クイズの正解が示され、なぜそうなるのか解説が行われる。
というように活用されているようであった。

 このようなスタイルで授業を行えば、学生は、自分の回答が比率に反映するという意味で主体的・能動的に授業に参加できる。また、教員側は、その都度、受講生の理解度に応じて(=正解率などの高低に応じて)、説明量を増やしたり減らしたりできるので、大人数の講義であっても、双方向型授業を実現させることができるというメリットがある。1個の重さは28グラム、1つのレシーバーで1000個のリモコンまで集計できるということであった()。
  ネットで検索したところ、こちらの会社で扱っていることが分かったが、日本語画面はなぜか文字化けして判読できなかった。




 この種のクリッカーは、既存の授業設備や、挙手、プラカードなどを利用した双方向授業と比べてどのようなメリットがあるだろうか。

 まず、古いタイプのLL教室や視聴覚教室などの固定設備(受講生の机にボタンが取り付けられていて、教員の合図で解答させ、結果をディスプレイに表示させるような設備)と比較すると、どの教室にも運搬可能という大きなメリットがある。

 第二に、

●「次のクイズの正解は、A、B、C、Dのどれだと思いますか? まずAだと思う人は手を挙げてください(Aのプラカードを挙げてください)。はい、次に、Bだと思う人...」

というやり方に比べると、他者の影響を受けず、瞬時に解答させ、瞬時に集計できるというメリットがある。挙手というやり方では、周りの人たちの様子を見てから手を挙げるという受講生も出てくるであろうし、またいちいち数えるのは手間がかかり、注意を拡散させてしまう。プラカードの場合は、「一度選んだプラカードを取り替えてはいけない」と指示することで周りの影響は多少避けられるだろうが、集計に手間がかかることは同様である。

 第三に、今回紹介された活用事例を見る限りでは、解答の匿名性が保たれるという点で、挙手やプラカードに比べると気軽に答えられるというメリットがある。従って、授業評価アンケートの質問項目を読み上げ、そのつどクリッカーで回答してもらう、というように、授業以外で活用することもできる。これは、マークシート型授業評価アンケートに比べると、紙資源節約になるほか、集計の手間とコストを省けるという大きなメリットがある。




 紹介された事例を見る限り、リモコンによる解答では「匿名性」が保たれているように見受けられたが、どの受講生にどのリモコンを配布したのかは識別できるはずなので、リモコンのIDと受講生の学籍番号を対応させておけば、小テストの代わりに使うことも不可能ではないように見える。もっとも、この場合、リモコンがうまく作動しないといったトラブル多発が予想される。

 このほか、成績評価とは無関係に、受講生の正解率ランキングなどが表示できれば、正解率を競うという形で集中度が増すというメリットも出てくるかもしれない(←もちろん弊害も考えられるけれど)。

 以上利用方法について述べてみたが、教育効果はどのような理論によって裏付けられているのだろうか。また、四択、五択といったボタン押しクイズに偏重することで、論述型の解答が苦手になるということは無いのだろうか。次回以降はこの点について、心理学の立場から考えてみたい。

 次回に続く。