じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 岡山大学構内の紅葉情報の第19回目(2007年11月30日)は、農学部構内のイチョウ並木が作る「黄金の絨毯」。今週末が最高の見頃となる。なお、イチョウの落ち葉は滑りやすく、また吸い殻ポイ捨てによる火災の恐れもあるため、こまめに掃き取られている。この光景は週明け早々には消滅する見込み。写真は上から、
  • 農学部構内東西通りの「黄金の絨毯」。
  • 農学部西門から眺める朝のイチョウ並木。このあたりは道路の南側のみに配置しており、ポプラ並木の雰囲気がある。
  • 夜の「黄金の絨毯」。夜桜ならぬ「夜イチョウ」が楽しめる。



11月30日(金)

【ちょっと思ったこと】

ホームズ彗星、ついに見えなくなる

 11月30日(金)の夕食後と12月1日(土)の早朝5時半頃は、ともに比較的よく晴れていたが、肉眼はもとより双眼鏡でもホームズ彗星を眺めることができなかった。晴れている限りは毎晩観測を続けるが、これでオシマイの可能性が高まってきた。

【思ったこと】
_71130(金)[心理]徴兵制を導入すれば若者は規律正しくなるか?(1)

 各種報道によれば、宮崎県の東国原知事は28日、県民との意見交換会「県民ブレーン座談会」で、「徴兵制はあってしかるべきだ」と述べ、また懇談会の終了後、「軍隊とは言わないが、ある時期、規律を重んじる機関で教育することは重要だと思っている」と語ったという(別の報道では「若者がある一定期間、自衛隊などで規律を学ぶのは重要だとする認識を示した」と表現されていた)。

 同知事は、その後29日になって、「徴兵制を容認していない。戦争に直結するものでは全然ない」と弁明、同時に、若者に一定期間、強制的に農業を体験させる「徴農制」などの仕組みが必要であると強調。「徴兵制」発言に関しては「社会のモラルハザード、規範意識の欠落、希薄化はどういうところで補うのか。学校教育が補えない中で、心身を鍛錬する場が必要ではないかと言いたかった」と釈明したという。また、「例えば徴農制とかで一定期間、農業を体験するとか、介護、医療、災害復興の手伝いなどをある程度強制しないと今後の担い手不足、社会構造の変化に付いていけないと危惧している」と強調したとも伝えられている。




 東国原知事のご発言の中の、「道徳や倫理観の欠損」という部分と、「社会構造の変化に付いていけない」という部分が同列に論じられるかどうかは議論を要すると思うが、ここではあくまで、ご発言からの連想により設定した問題:

●徴兵制を実施し、一定期間、訓練や規則正しいルールにのっとった生活を強制すれば、若者は規律正しく行動するようになり、「モラルハザード、規範意識の欠落、希薄化」を改善することができるか?

について考えてみたいと思う。

 この問題を考えるにあたっては、少なくとも4つの視点からの議論が可能である。
  1. エビデンスに基づく議論
  2. 特定場所、特定期間に受けた訓練の般化可能性についての議論
  3. 行動随伴性に基づく議論
  4. 少数の「ならず者」にどう対応するかという議論
 まず、第一の「エビデンスに基づく議論」というのは、実際に徴兵制を実施している国とそうでない国を比較し、犯罪や非行や、一般的な道徳・倫理面での諸行動(例えばゴミの捨て方、援助行動、交通違反、時間厳守など...)に有意な差があるかどうかを検証するという作業が含まれる。また、志願制をとる国の内部において、軍隊経験者と非経験者のあいだで有意な差があるかどうかも検証が可能であろう。

 また「軍隊とは言わないが」ということであれば、例えば、規律の厳しい学校と、そうでない自由な学風を重視する学校を卒業した者とのあいだで、卒業後の犯罪や非道徳的行為の発生率に有意な差があるのかを検証することもできる。

 そうしたデータをちゃんと示した上で主張しないと、元来の同調者からは賛同されることはあっても、単なる精神論や「持論の展開」と評されるだけに終わってしまい、世間一般を説得することができない。

 もちろん、反論する側もそれなりのエビデンスを用意する必要があるが、何かの制度を新しく導入しようという場合は、原則として証明責任は、新規提案者側にあると言ってよいだろう。

 あいにく、といってはなんだが、いま世間では、前・防衛事務次官夫婦がゴルフ旅行の接待受け収賄の疑いで逮捕されたという話題が連日取り上げられているが、いずれも事務官であったとは言え、防衛省内部での倫理・道徳崩壊という点では切り離すことはできず、けっきょく、「訓練練や規則正しいルールにのっとった生活」経験者が多数在籍しているはずの防衛省であっても、自らの組織を律することができなかったという批判を受けざるを得ない。

 このほか、現職あるいは元職の自衛官、警察官による犯罪も決して皆無とは言えない。大学のサークルの中でも規律が厳しいはずの体育会系の部員(あるいはOB)による犯罪というのも時たま耳にする。このあたりの問題は、2.の「特定場所、特定期間に受けた訓練の般化可能性についての議論」に関係してくるかと思う。

 次回に続く。