じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 岡山大学構内の紅葉情報の第六弾。写真上から、
  • 朝日を浴びる時計台前のアメリカフウの並木。時計台の右横の紅葉は楷の樹。
  • 岡大・南北通りのイチョウ並木。
  • 農学部前の楷の樹(オス)。
  • 一般教育棟(旧・教養部)の建物から西側方面。中央やや左は本部棟。右端は、福利施設ピーチユニオン(生協食堂、ショップなど)。
  • いちばん下は、文化科学系総合研究棟の黄葉。




11月7日(水)

【ちょっと思ったこと】

ホームズ彗星、月と水星

 11月7日(水)の夕刻から8日(木)早朝にかけては大変よく晴れ、夕食後(10回目)と早朝(11回目)にホームズを眺めることができた。肉眼でもぼんやりした雲状に見えたが、全体の明るさは数日前よりかなり暗くなり、オリオン座の小三ツ星の一番上(三つ星に近いほう)の星とほぼ同じ程度であった。

 11月8日の早朝は、このほか、東の空低い位置に、月齢27.7の細い月とその横におとめ座スピカ、さらに、11月9日に西方最大離角を迎える水星を眺めることができた。天気がよければ、明日の朝も楽しめそう。
【思ったこと】
_71107(火)[心理]日本心理学会第71回大会(45) 日本人は集団主義的か?(10)同調行動の実験

 高野氏の話題提供では、質問紙法研究の結果に引き続き、行動研究の結果の概要が紹介された。行動研究を通じて「集団主義」を研究することの核心は、個人が自分より所属集団を優先することにあり、「集団主義的行動」の典型としては、同調行動と協力行動が挙げられるという。ここで同調行動とは、集団の他の人々に従って行動するような傾向であり、また協力行動とは、自分の利益より集団の利益を優先するような行動傾向である。これらに日米差が見られるかどうかを調べれば、「日本人=集団主義」の証拠または反証を得ることができる。

 同調行動を調べるためには、しばしば、サクラを使った実験が行われる。最も有名なのはAsh(1956)の線分の長さを判断させる実験である。孫引きになるが、その概略は以下の通り。
  • 大学生123人を被験者に選び、実験室において、通常ほぼ間違うことのない課題を用いて、被験者があえて誤答をするサクラ(多数派)にどれだけ同調して誤答するかを検証
  • その結果、約3分の1の被験者が、誤りとわかりきっている答えを選択した。
  • さらに、この多数派への『同調』が、どのような要因によって起こりやすくなるのかを調べるため、誤答するサクラの数を変化させたり、多数派にも被験者にも同調しないサクラを導入するなどの条件を設定した。その結果、3人のサクラが2人のサクラよりも大きな同調を生むが、それ以上の人数の増加による効果はほとんど見られないこと、『同調』が行なわれるには、サクラの判断が全員一致していなければ効果が少ないことなどが分かった。
 高野氏がついてAsh(1956)の実験やその後の追試で報告された同調率を比較したところ、
  • Ashのオリジナルの実験では37%
  • 米国で行われたその後の追試では25%
  • 日本で行われた追試では、いちばん低い比率で18%、高い比率で27%
であったという。つまり、これらの結果を見る限りでは、日本人の同調率は、米国人の同調率と同じか、やや低いということになる。




 同調行動についての実験は他にも多々あるが、被験者としてどういう人たち(大学生、一般社会人、若者、主婦、高齢者、...)を選ぶのか、どういう文脈で、何について同調させるのか、などによって、同調の度合いは大きく変わってくるように思う。

 例えば、大学生を「社会心理学実験室」という看板のかかった実験室に入室させ、そこにいかにもサクラっぽい人たちがいて、明らかな誤答をすれば、普通の大学生ならこれは妙だなあ、どうせサクラを使って被験者を騙す社会心理学の実験なんだろうと思ってしまう。しかし同じ大学生でも、カルト宗教の偽装サークルなんぞに勧誘され、そこで、サクラを演じる信者だちと一緒にセミナーを受ければ、いとも簡単にマインドコントロールされてしまうかもしれない。インチキ健康器具を売りつける催眠商法なども同様。また、グループで旅行する時に単独行動を避けたり、食事をする時に同じ料理を注文しようとするのも同様。

 けっきょく、どれだけ同調するのかについては、文化差の影響はごく僅かであり、同調を促進するような場面の雰囲気や、その人のニーズなどによって影響を受けるのではないだろうか。


 次回に続く。