じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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[今日の写真]
   7月16日(月)の「海の日」は、朝方はよく晴れて強い日射しが照りつけたが、その後、上空に寒気が流れ込んだ影響で雲に覆われ、午後には合計12ミリの雨が降った。これで、岡山では7月に入ってから1ミリ以上の雨が降った日数は14日/16日。日単位の降水確率は結果的に87.5%となった。

 この日の夕刻19時25分〜26分頃には写真のように空のほぼ全体が真っ赤に染まった。ちなみに、この日の日の入り時刻は19時18分。2005年7月4日の日記にも同じような写真あり。



7月16日(月)

【思ったこと】
_70716(月)[一般]新潟県中越沖地震の報道と対応の問題点

 各種報道によれば、7月16日日午前10時13分ごろ、新潟県中越地方を中心に強い地震があり、同県柏崎市と長岡市、長野県飯綱町などで震度6強を観測した。政府は今回の地震を「新潟県中越沖地震」と名付けた。

 このニュースは、11時半すぎ、昼食をとりに家に戻って初めて知った。テレビでは、ヘリから、全壊した建物や柏崎原発の変圧器火災の生々しい映像が流されていた。

 12時前の映像を視てまず妙だと思ったのは、家屋が全壊して道路の片側を塞いでいる現場の傍を、何事も無かったかのように人や車が通行していたことである。救出活動が全く行われていなかったというのは、あの瓦礫の下には誰も埋まっていないということがすでに確認されていたためなのだろうか、それとも、自分たちのことだけで精一杯だったのだろうか、気になるところであった。

 全壊した家屋の映像は他にもいくつか流されていたが、殆どの場合、周囲には人の気配が無かった。すでに近くの学校や公民館などに避難した後だったと思われるが、ヘリからの映像だけでは、その様子がさっぱり分からない。また倒壊場面などの衝撃的な映像ばかりを流されているので、逆に、全体的にどれほどの被害があったのかが分かりにくくなっていた。




 12時前後の報道ではNHKの対応のまずさが目立った。民放のほうが「柏崎原発の変圧器火災は鎮火した」と伝えていた頃、NHKではまだ変圧器が燃えている最中の古い映像を流していたし、民放各社が気象庁の第1回目の会見を生中継していた時にも、少し前に入った個別の被害エピソードや映像を繰り返し紹介しているのみであった。3連休で人手不足ということもあったのかもしれないが、受信料を強制的に徴収し、公共放送を標榜しているNHKが速報性という点で民放に遅れをとっていたのでは困る。

 それと、NHKの速報では、発生直後、「○○町のAさんがガスの元栓を止めようとして、調理中の熱湯を浴びて軽いやけどをした」とか「△△町のBさんが家具の下敷きになって軽い怪我をした」というような個別的なニュースや、避難してきた人たちへのインタビューなどを繰り返し報じていたが、いくら、独自に得た情報が少ないと言っても、この種のエピソードには緊急な情報的価値は無い。そんなことよりも、余震への注意の呼びかけ、ヘリ上空から得た映像とGPS位置情報を基に、どの町の何丁目あたりでどういう災害が起こっているのかを克明に伝えることに力を注ぐべきである。

 停電や断水の情報なども、件数だけでは規模が分からない。それぞれの町の総数に対する比率や、被害の範囲を優先的に伝えてほしいものだ。




 放送各社のヘリが現場上空を飛び回っている最中、行政側はどうやって被災情報を収集していたのかも気になるところだ。本来ならば、民放のヘリが到着する前に、消防や自衛隊のヘリが現場に急行し、全体の状況を把握した上で、レスキュー隊を送り込むという措置がとられるべきであろう。法的な問題とか、指揮系統の問題などいろいろあるのかもしれないが、生き埋めになった人の救出は一刻を争う。例えば、

●「震度6強」以上の地震が発生した場合は、自衛隊は独自の判断でヘリを飛ばし、正規の消防・レスキュー隊が地上から到着する前に、応急の救出活動を行う

などの対策がとられれば、犠牲者の数はもっと減ったはずである。




 このほか、政府の初期対応にも大きな問題があった。アサヒコムの07月16日12時43分発信のニュースでは
塩崎官房長官は16日午前11時55分から官邸で緊急記者会見を開き、新潟県上中越沖を震源とする地震で、柏崎市で家屋数軒の倒壊があり、柏崎、長岡両市で火災の通報があったことを明らかにした。東京電力・柏崎原発で稼働中の2、3、4、7号機については「自動停止した。建屋外の変圧器から火災が発生し、消火作業中だ。放射能漏れは確認されていない」と語った。
と報じられているが、実際には「家屋数軒の倒壊」で済まされる規模ではなかった。また「放射能漏れは確認されていない」と言っても、実際には、使用済み燃料プールの水があふれ施設内の排水溝を通じて海に流れ出ていたことが16日午後6時20分頃に分かり、午後10時すぎになってやっと公表された。結果的に、政府会見の「放射能漏れは確認されていない」というのは安全宣言には全くなっておらず、単に、政府や東電の危機管理体制に欠陥があったことを露呈するだけに終わってしまった。


 今回「不幸中の幸い」であったのは、台風4号接近とこの地震発生に1日以上のズレがあったことである。これがもし同じ日に起こっていたら、報道各社が果たしてちゃんと対応できていたかどうか不安になる。こういう事態に備えて、例えば

●猛烈台風接近中に大地震が発生した場合は、A局は地震関係、B局は台風関係というように、報道内容を分担し、視聴者が必要に応じていずれかの最新情報を知ることができるように配慮する

というようなことを事前に取り決めておくことも一案であろう。