じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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[今日の写真]
 4月1日朝の岡山は深い霧につつまれた。写真は農学部東西通りのイチョウ並木。


3月31日(土)

【思ったこと】
_70331(土)[心理]心理療法におけるエビデンスとナラティヴ(7)能智氏、武藤氏、松見氏の話題提供(1)

 3月21日に立命館大学衣笠キャンパスで開催された特別公開シンポジウム:

心理療法におけるエビデンスとナラティヴ:招待講演とシンポジウム

の感想の7回目。

 シンポジウムでは下山氏に続いて
  • 能智正博氏:ナラティヴの視点と“リハビリテーション・カウンセリング”
  • 武藤 崇氏:認知行動療法とナラティブ:"close outsider"という倫理
  • 松見淳子氏:EBP(Evidence-Based Practice) の今日的意味と展望
という話題提供があった。

 能智氏はまずナラティヴの概念の特徴を述べられたあと、WHO(1980)における障害論と、社会モデルの障害論を比較し、ナラティヴとしての障害モデルの位置づけを明確にされた。いっぽう、Evidence-based approachが基本的には消費社会の価値観を反映したものであり、医学モデルとの親和性をもつことを指摘された。

 次の武藤氏の話題提供は、武藤氏ならではのユニークな視点が満載されていた。武藤氏によれば、モダンとポストモダンをうまくミックスすると村上春樹氏になり、今回、武藤氏からMcLoad氏に村上作品の英訳版をプレゼントしたというお話も出た。

 武藤氏は、行動分析学会の会費督促誤送信の報告者、また、ACT(Acceptance and Commitment Therapy)の第一人者としても広く知られているが、ナラティヴについては次の4点において共感できる面があるということであった。
  1. Externalizing
  2. Reflexivity
  3. Re-authoring
  4. Accountability
 私も、特に1.に関しては、行動分析の視点との共通性を強く感じている。極言すれば、すべての悩みや不安は、オペラント条件づけにおける行動随伴性とレスポンデント条件づけに外在化できると言うこともできそう。2.以下についても、かなりの部分は行動分析と連携できると思っているが、このことは別の機会に述べることにしたい。

 次回に続く。