じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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[今日の写真]
昨日に続き、座主川沿いの遊歩道の風景。モミジの紅葉が木漏れ日に映えて、「岡大渓谷」を作り出している。



11月29日(水)

【ちょっと思ったこと】

教育再生会議のいじめ緊急提言

 各種報道によれば、政府の教育再生会議は29日、いじめをした児童・生徒に「社会奉仕」を行わせるよう学校側に求めるなど、毅然とした姿勢を打ち出す内容を盛り込んだ緊急提言を公表した。提言にあたっては、当初はいじめをした「加害者」に対する「出席停止」を明記する厳しい案も浮上したが、「社会奉仕」「別教室での教育」といった対応を例示するにとどめたという。

 この提言に対しては、旧文部省が10年前にまとめた報告書と重なる部分が多いばかりか、予防策がすっぽり抜け落ちており、いじめ対策の難しさを図らずも露呈しているとの批判がある。

 そもそも、いじめなどというのはいつの時代にもあるもの。ドラえもんに出てくるジャイアンやスネ夫なども、のび太に対するいじめを咎められ、「社会奉仕」や「出席停止」の処置を食らいかねない。

 今回の提言は、福岡県筑前町など各地で相次ぐいじめ自殺の連鎖を絶つという緊急事態を背景としたものだと思うが、「いじめを根絶する」方策と、「いじめられた子が、いじめからの回避・逃避の手段として自殺を選ぶことを阻止するための対策」は分けて考えたほうがいいと思う。もちろん理想としては「いじめの根絶」という根本的な解決が求められるが、それを待っていたのでは連鎖をくい止めることはできない。それと、マスコミによるセンセーショナルな取り上げ方が、連鎖を引き起こす一因になっていないかどうかもちゃんと検証する必要があるだろう。

 いじめに対して毅然とした態度をとることは当然だが、そのためにはまず大人が、大人の世界で起こっている恐喝、たかり、集団暴力、その他、他者の尊厳を傷つける様々な行為に対して毅然と対処し、模範を示すことが必要だ。街角で暴力行為を目撃した時は直ちに110番することは当然。そういう時に「関わり合いになるのはゴメンだ」と見て見ぬふりをしているようでは、子供がそれを真似しても致し方ない。もちろん、市民による監視体制を強めるためには、目撃通報者が二次的な被害を受けぬよう、万全の保護策を講じる必要がある。

【思ったこと】
_61129(水)[教育]大学教育改革プログラム合同フォーラム(16)「魅力ある大学院教育」イニシアチブ分科会(1)

 今回からは、11月13日(月)の13時20分から15時15分まで開催された表記のパネルディスカッションについて感想を述べることにしたい。

 分科会ではまず、人社系1件、理工農系2件、医療系1件の事例報告があった。

 そのあとのディスカッションでも何度か指摘されたところであるが、この「魅力ある大学院教育」イニシアティブというのは、
現代社会の新たなニーズに応えられる創造性豊かな若手研究者の養成機能の強化を図るため、大学院における意欲的かつ独創的な研究者養成に関する教育取組に対し重点的な支援を行うことにより、大学院教育の実質化(教育の課程の組織的な展開の強化)を推進する
ことを趣旨・目的としていた。

 しかし、そのことを誤解して(もしくはちゃんと理解せずに)、COEか何かと勘違いしているような応募をしてきたところもあったと聞く。上記の趣旨・目的から言えば、少なくとも
  • 若手研究者の養成機能を明示していること
  • 教育課程の組織的な展開の強化策が示されていること
は不可欠であり、単に「意欲的」「独創的」なプログラムではボツになることははっきりしているのだが、なかなかそのようには受け取られなかったようだ。

 各領域の事例報告はそれぞれ示唆に富むものではあったが、さすが、大学院教育となるとそれぞれの専門領域に特化した部分が多く、短時間の口頭説明と、矢印のいっぱい並んだ図解スライドを見せられてもなかなかイメージが掴みにくいところがある。けっきょく、抽象的な表現だけを頭に入れていくことになるが、そうなるとどれもこれも似たり寄ったりに見えてしまう。この種の事例報告はやはり領域別で検討したほうがよいのではないかなあ。大学院共通教育(あるいは、研究科横断型共通教育)のようなもの事例なら話は別だが。

 次回に続く。