じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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[今日の写真]
農学部農場の稲刈りがほぼ終了。この田んぼは6月10日に水を張り、6月22日頃にはすでに田植えが完了していた。ほぼ4ヵ月で収穫ということになった。


10月20日(金)

【思ったこと】
_61020(金)[心理]学会年次大会に参加する意味(3)

 昨日の日記で
例えば、50歳代や60歳代の方が何らかの研究発表をされたとする。これまでなら、取り上げられたテーマの単発的な内容に関心をいだくことが多かったが、最近は、そればかりでなく、その研究者の過去30〜40年を振り返り
  • どういう立場を主張してこられたか
  • 研究テーマはどのように変遷したか
  • テーマや研究方法には一貫していたか、それとも途中でパラダイムシフトがあったか
ということにも興味をもつようになった。
と書いた。こういう興味は以前からあったが、それを強く意識するきっかけになったのは、今回の日本行動分析学会第24回年次大会であったように思う。

 9月4日の日記にも書いたように、私個人は、大学院修士課程の頃(1976年頃)、この大学のI先生の研究室におじゃましたことがあった。大学の建物や雰囲気はあの頃と殆ど変わっていない反面、(私を含めて)人間だけはみな歳をとっていた。

 あるシンポの話題提供者は、じつは私より一年後輩にあたる人だったが、いまや某所で教授をつとめておられる。ところが、その喋りっぷりは、大学院時代に教室内の研究会で発表した時と少しも変わっていなかった。

 会場でたまたまお会いしたSx氏は、私よりは1〜2年、先輩にあたる。いまや健康心理学の大家として知られる。このほか、私より数年先輩だった方の息子さんが、大会スタッフに加わっておられた。もはや代替わりの時期に入りつつある。

 大学での心理学の授業というと、概論書の紹介や、各種研究法(方法論や手法)の習得、最近刊行された研究論文の紹介だけに終わってしまいがちであるが、それぞれの研究者が何をきっかけにそのテーマに取り組み、どういう成果を出して(もしくは、限界を感じて)、そのテーマから離れていったのかということを伝えていくことも大切ではないかと思いつつある。




 さて、元の話題に戻るが、来週から11月初めにかけて、さらに2つの学会年次大会に参加する予定となっている。

 インターネットが普及した時代、なぜわざわざ、時間とお金をかけて会場に足を運ぶ必要があるのかということだが、私個人の一番の理由は、

●学会に参加すれば、少なくともその数日間は、雑務から離れて、その領域について考えをめぐらすことに専念できる

といった点にあるのではないかと思っている。確かに、ネット記事や電子ジャーナルや各種出版物は、いつでも閲覧できる。しかし種々の雑務に追われていると、ついつい優先順位が後回しになってしまって、「賞味期限」を逸してしまうことも少なくない。同じような境遇にある方がおられる限りは、いくらネットが普及しても、伝統的な年次大会形式による研究交流が消え去ることは無いであろう。