じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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[今日の写真]
[今日の写真] 10月9日昼に、干上がる寸前の用水路からエビ(スジエビ)と魚(ハゼの仲間)の救出作戦を敢行した。毎年恒例の行事。救出した生物は水槽に入れて飼育する。2006年6月14日の日記には、2年以上生存の記録がある(←但し、このエビは8月頃には姿が見えなくなった)。

写真左は、10月9日夕刻と10日朝に撮影した用水路の様子。一晩で完全に干上がってしまった。写真右は救出されたエビとハゼ。


10月10日(火)

【ちょっと思ったこと】

ミクロネシアの酋長、日本に向かうか

 南鳥島の南で発生した台風18号が発達しながら西に向かっている。米軍合同台風警報センター(JTWC) からは、北緯25度、東経135度付近に到達するという予想が出されているが(10月11日朝の情報)、これより西まで進んだ場合は日本直撃の可能性がある。日記才人で台風通として知られるじじゐ師匠も、10月10日の時点で日本に向かうとの予想を出しておられるようだ。

 この台風18号のアジア名は、ソーリック (SOULIK) 。ミクロネシアの伝統の酋長称号だそうだ。

【思ったこと】
_61010(火)[心理]日本心理学会創立80周年記念講演(1)

 10月1日(日)の13時30分から、東京の赤坂プリンスホテルで表記の講演会があった。講演者は
  • J. Bruce Overmier氏(国際心理科学連合会長、米国ミネソタ大学教授)
  • 張 侃氏(中国心理学会会長、中国科学院教授)
のお二人であった。

 ところで、この80周年だが、こちらの沿革に「日本心理学会は、心理学の進歩普及を図ることを目的として1927年(昭和2年)4月7日に創立された」と記されているとおり、これはあくまで心理学会の創立から80周年という意味。

 日本における心理学研究の歴史はもう少し古く、西周が1875年から1876年にかけて日本で最初に「心理学」というタイトルの本を訳出したことがルーツとされているようだ。このあたりの話題は文学部公開講座(1998年10月9日、こちらに概要あり)や、日本理論心理学会第50回大会シンポジウム:日本発の理論を考える(こちらに感想あり)で取り上げたことがあった。

 ついでながら、学界では、日本心理学会は「The Japanese Psycological Association」の頭文字をとって「JPA」と略されることが多いが、ウィキペディアによれば、「JPA」という略称は他にも
  • 日本パラグライダー協会 (Japan Paraglider Association)
  • 日本製紙連合会 (Japan Paper Association)
  • 日本写真作家協会 (Japan Photographers Association)
  • 日本煙火協会 (Japan Pyrotechnics Association)
  • 日本プリンティングアカデミー (Japan Printing Academy)
  • 日本ペンション協会 (Japan Pension Association)
  • 日本パワーリフティング協会 (Japan Power Lifting Association)
  • 日本養鶏協会 (Japan Poultry Association)
  • 日本劇作家協会 (Japan Playwrights Association)
  • 日本パレット協会 (Japan Pallet Association)
  • 日本小児科医会 (Japan Pediatric Association)
  • 日本パフィオペディルム研究会 (Japan Paphiopedilum Association)
  • 日本プレミックス協会 (Japan Prepared-Mix Association)
というように多種多様に使われている。このうち「パフィオペディルム」というのはもしかして洋蘭の一品種ではないかと検索してみたら、まさしくその通りであった。また、「パレット」とはこういうもの(←絵の具のパレットではない)、プレミックスというのはこういうもののことを言うらしい。世の中、いろんなモノが活躍しているんですなあ。




 今回の講演は、心理学研究の歴史ではなく、御両名とも組織、事業に関する内容であった。特にOvermier氏の講演では心理職の資格問題についても詳しく取り上げられていた。

 ちなみにこの資格問題は、心理学関連学界ではいまホットな話題の1つとなっている。来月の日本心理学会第70回大会では

心理学界が目指すべき資格制度のあり方−心理職の国資格化をめぐって−

という特別シンポジウムが行われるほか、この日記でも何度か取り上げた全心協(ぜんしんきょう)の「医療心理師」国家資格化に向けた活動がある。また10月27〜28日に姫路で開催される第42回 日本臨床心理学会大会でも、1日目午後に

●国家資格について

という総合討議が行われる予定であるという。

 なお、資格問題についての私の考えは、こちらや、こちらのFAQのほか、私設サイト連載にも詳しく述べてある。ご参考にしていただければ幸いです。




 さて、第一講演者のOvermier氏はSeligmanらとともに「Learned Helplesness」の研究者の一人として知られる。私自身の手持ちの文献コピーの中には他に
  • Dess, N. K., Patterson, J., & Overmier, J. B. (1986). Relative effectiveness of concurrent forward/backward versus simple forward and simple backward Pavlovian conditioning procedures. American Journal of Psycholgy, 99, 31-44.
  • Williams, D. A., & Overmier, J. B. (1988). Backward inhibitory conditioning with signaled and unsignaled unconditioned stimuli: Distribution of trials across days and intertrial interval. Journal of Experimental Psychology: Animal Behavior Processes, 14, 26-35.
という共著論文2編が見つかった。少なくとも私にとっては、動物を被験体とした基礎心理学の研究者という印象が強い。じっさい講演の最初のところでも、人間と動物のパラレリズムとして
  • パブロフ学派による実験神経症の研究
  • 系統的脱感作療法
などを挙げておられた。

 次回に続く。